佐藤功技術士事務所
佐藤功
4月のプラスチック加工産業指数は47.1(3月は48.0)と後退が続いている。これを反映し原料樹脂価格も底這い状態が続くことが懸念されている。特にPPが悪く、大量輸出が急増している。
そんな中で、編集長が加工業活性化策として下記の5項目を提案している。
コロナ禍で直接接触の効用を忘れられている。直接接触で得られることは多い。
時代は動いている。自社の位置付け、環境を見直し、新たな方向を見出してほしい。
3Dプリンタ、リサイクル技術、AIツールなどの導入をきっかけに成長した例が多い。
当面の人手不足対策としても必要だが、人材は成長の基本だ。
自ら手掛けないとできないことがある。顧客との信頼性構築にもつながる。
スクリューが摩耗すると吐出量が下がり、樹脂温度が上昇する。シリンダー/スクリューのスキマはスクリュー径の1/1000が基準だ。これが4倍を超えた場合は交換した方が良い。医療用チューブのような高精度を要するものは2倍くらいに抑えた方が良い。
摩耗したスクリューは補修可能だが、肉盛り部ははがれやすいので再生加工は3回が限度だ。
3Dプリントは有用だが限界もある。これを下記に6項目にまとめた。工夫によって回避できる場合もある。
第1表に示すように、加工法によって製品最大サイズ、最小肉厚、最小スキマ、最小孔、寸法精度が異なる。これらは製品形状、使用材料、積層面方向、積層方向などによっても異なる。例えばシャープな突起は作れない。
提供されるデータの精度を上げても製品の精度や表面が改善されないことがある。
成形時に収縮する。製品形状が非対称の場合は特に問題になる。
加工中の温度変化、自重によるたわみなどで変形する。特に小物部品では影響が大きい。
熱硬化型材料の場合はABSやPPに類似させた材料が提供されている。これはすべての挙動が同じではない。
Poly Jetは広範な硬度のエラストマーを組み合わせて使うことが出来る。ただし、形状によっては成形出来なかったり生産性が低くなる場合がある。
表1 主要な方式の比較(長さはmm表示)
*:熱硬化性材料、ABS,PP,PC類似性能材料が準備されている
射出成形でノズルは低温のスプールと接触しており、シールと断熱が求められる。これが出来ないと樹脂漏れ、ハナタレ、糸引き、ノズルつまりなどのトラブルが発生する。現場では応急策として段ボールを挟むことがあるが数ショットで使えなくなる。Crusty Sr が耐久性のある断熱材を開発した。正しく使えば再使用も可能だ。
今月も環境関連のニュースが多数あったので列挙する。
平凡な廃棄物処理業者だったSave that Stuffがクリーニング用ハンガーのマテリアルリサイクルの要請を受けた。これを実現するため金属分離装置、洗浄装置、ペレタイザーを導入した。その結果、多様な処理方法を構築できるようになり、リサイクル比率の向上、リサイクル材料の品質向上が出来た。
医用機器が主力のKraiburg TPE はISCC PLUS取得によりトレーサビリティを重視している顧客を増やすことが出来た。
明るい話が少ない中、編集長の活性化を促す5つの提案は我々にも当てはまる。熟慮と決断を期待したい。
3Dプリントは「どれを選ぶか」の段階に入っている。その際、表1のような横串比較が参考になる。日本では一般的でない言い方が含まれていたので、方式名は英語表記のままにした。興味のある方はオリジナル(https://www.ptonline.com/)を参照してください。
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