佐藤功技術士事務所
佐藤功
産業構造問題を抱えており、プラスチック産業が浮上することはむつかしい。材料側は設備過剰、成形側は労務費インフレで身動きが取れない状態だ。そんな中で、樹脂材料に価格が下げ止まった。これは輸送費の高騰で輸出の採算悪化、原燃料の価格上昇が主要因で、景気が良くなる予兆ではない。
今月から「プラスチック加工産業指数」の発表されなくなった。
Plastics Technology誌は射出成形業者を対象にしたオンライン調査を毎年行っている。工場管理、技術、営業戦略、人事を中心に評価される。解析結果が公表されると同時に参加各社は自社の地位、特徴を知ることが出来る。
Coca-colaがPETボトルにrPET製ボトルを使用し、リサイクルしやすいデザインにする。ラベルを廃止し、表示はボトルのエンボス、レーザーマーク、キャップで行う。この仕様の「スプライト」をイギリスで3月まで試験販売する(参考写真1参照)。日本Coca-colaもラベル廃止を進めている。
CJ Biomaterials(韓国)がPHAラミネート紙によってラーメンカップを生分解可能した(参考写真2参照)。この方式だと日本では「紙カップ」になると思う。
Total Energies Corbionは解重合によるPLAリサイクル技術を開発している。通常の方法では再生中に分子量が下がってしまうためだ。この方法よる材料はLCA解析によると植物由来PLAより環境負荷が小さい。
Total Energies は廃プラを熱分解して原料、熱源として活用する。通常は熱利用のみだが、分留して留分ごとに使い分けている。
各種成形設備メーカーのPiovanがCIに伴うブランド整理を行った。
包装材用設備メーカーのKronesがNetstal を傘下に入れた。
CiTexが計測器メーカーPixargusを買収した。
Revolutionがカナダのリサイクル業者Poly Ag Recyclingを買収した。
カールフィッシャー法は水分を加熱分離して定量する。加熱条件が適切でないと正しい結果が得られない。PA66の場合、加熱時間温度220℃程度、処理時間は7分以上必要だ。キャリアガスは不活性ガスが望ましい。設定温度と試料温度には偏差があるので、校正した温度を設定する。
射出成形では成形機キャビティ間に圧力損失がある。寸法やヒケを検討する時はこのことを考慮する必要がある。
マドックタイプのスクリューでは先端2ピッチを混練部にしている。混練部の山を乗り越える時のせん断応力が200〜300kPa程度にする。混練部の溝が狭く、深すぎる傾向があり、溝底で劣化が起きていることがある。
Precision Molded Plasticsは200トン以下の小型成形機を14台保有する精密成形モルダーで、連続運転をしている。夜間の3時間は無人になる。
設備、人材、システムを経営の必須3要素と捉え、精緻化をすすめている。金型は内製しており、生産管理システムは自社開発した。成形機の電動化、成形の自動化を進めている。1万個程度の需要に焦点を当てており、自社に適したものを受注するようにしている。顧客を重視しており、納期遵守率は98.6%、過去17年でクレームは11件しか発生していない。特定顧客の依存を総売上の10%、利益の20%以下になるようにしてリスクの分散を図っている。過去に数社を買収した。仲間が引退する時事業を引き継いだもので、顧客拡大に貢献した。
Windmill Plasticsは自動化が進むと現場監視がおろそかになること、スタッフ人員削減が進まないこと、に気付いた。そこで監視業務の自動化を進めた。これを集約して、日誌作成業務もなくした。さらに判断機能を加えて監視システムを完成させ、Clariprodとして外販している。安価で導入が容易だ。また、可視化機能を強化してブラックボックス化を防いでいる。
EUでは2025年までにPETボトルへの25%以上のリサイクル材使用が義務付けられ、以降さらに引き上げられることが予定されている。
Missionはこれに対応できる技術を確立した。ポイントの第1は選別の強化だ。フレーク状態で着色物、非PET材料がほぼ完全に除去される。第2は溶融縮重合機で、rPETの粘度を調整する。
Plastics Technologyもページ数が減り始めた。今月からは「産業指数」の掲載がなくなった。そんな状況で本誌はがんばっている方を取り上げ、励まし続けている。産業構造が異なるため即活用できることは少ないが、我々にない発想、あるいは飛躍のヒントが隠れているかもしれないと思う。NPEが開催を控え、様々な報道が行われている。成果を期待したい。
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