佐藤功技術士事務所
佐藤功
5月のプラスチック加工産業指数は45.1と低迷が続いている。この状態から抜け出せるめどはついていない。しいて明るい材料を探せば自動車向けのPP複合材料の引き合いの増加、気相法PEの生産開始が挙げられる。需要拡大のきっかけになることを期待したい。
厚肉シートでは冷却ロールの冷却性能が律速になる場合がある。ただし、要因が多く、設計法が複雑で高度な専門能力が必要だ。発注する場合は設計根拠を十分確かめるようにしたい。
溶融部と混錬部に分け、それぞれが要求機能を満たすよう構成する。構成法には唯一無二の正答があるわけではない。試行を繰り返し、要求機能を満たす構成が見つかればそれが解だ。
利用する材料データによって結果がことなる。例えば熱伝導度や比熱はシングルポイントデータでは良い結果が得られない。成形収縮率は成形条件を変えて何回か成形実験を行い、所定の測定法で計測されたデータが必要だ。Moldflowはデータ整備に努めているが、それでも高品質データが備わっている材料は1/3に過ぎない。
PC成形品を一般に得られるデータ使用した時と十分吟味されたデータを使用した時との比較をしてみた。その結果型内圧力が2倍程度違った。
自動化するとかえってトラブルが増えてしまうことがある。その原因の一つが動作の再現性の低下だ。金型位置、取出し機の位置、把手の位置が正確でないこと、あるいは変化することが原因だ。取り付け誤差を生じさせないように各部を設計することがまず求められる。駆動部の軽量化も有効だ。慣性力の影響が減り、衝撃による変形、動作の変動を防ぐことが出来る。
射出成形モルダーSee Scanは省力化のために周辺機器を強化し時、品質向上もねらい、ホッパー乾燥機、重量式混合器、スペアホッパー、型温調器を導入した。その結果、原料水分率の安定化、色むら低下、型温度の高精度化が実現し、品質向上、収率向上、成形可能材料の拡大などが出来た。
リサイクル業者St. Joseph Plasticsは工業廃棄物のみを収集している。モルダーで出る廃棄物を丹念に集めている。また、製品をPPとPEに絞っている。分別精度を上げ夾雑物を減らし、大型混合機を導入しロット内バラツキを小さくした。最近は物性を指定したリサイクル材の引き合いが増えている。これに対応するためさらなる高品質化を目指している。
Drummond Industriesは油圧式射出成形機のみを長年使用してきたが、最近、日本製の電動機を導入した。使い慣れていなかったので不安はあったがすぐに解消し、満足している。複数の作動を並行して行えるため、成形サイクルが短縮できた。また、自動調整機能があるため、型交換も容易になった。最大の利点は再現性が高く、成形が安定した点だ。また、各種安全装置も充実しており、もう油圧機には戻れないと感じている。
アメリカはインフレと利上げで製造業は大変な不況のようだ。業界動向を見ると大手はM&Aによる事業入れ替えを進めている。技術記事では中小モルダー向けに基本を押さえて地道に品質向上、コストダウンをすることを勧めている。参考にしていただきたい。具体的な手法などを知りたい方はオリジナル(https://www.ptonline.com/articles/)を参照してください。
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