写真7 リコーブースに掲示されていた「地産地消型の資源循環ループ」の概念図(展示パネルの一部)
秋元英郎
秋元技術士事務所、プラスチックス・ジャパン株式会社
NEW環境展2026で見たプラスチックリサイクル技術を解説。減容、材質判別、湿式選別、脱墨・洗浄、異物除去、PETボトルリサイクル、再生材活用、生分解性付与添加剤まで、資源循環の実務技術を分野別に整理。
2026年5月20日から5月22日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて「2026NEW環境展/2026地球温暖化防止展」が開催された。主催は日報ビジネス株式会社で、会場は東京ビッグサイト東1・2・3・7・8ホールおよび屋外実演会場であった。来場者数は3日間累計で98,116人と発表されており、環境技術や資源循環技術に対する関心の高さがうかがえる展示会であった。
NEW環境展2026では、廃棄物処理、再資源化、環境保全、脱炭素などに関わる幅広い技術が紹介されていた。なかでも本レポートでは、プラスチックリサイクルに関わる技術に着目する。具体的には、実際の廃プラスチックをどのように回収し、判別し、分け、洗浄し、異物を取り除き、再び材料や製品として使える状態にするかという、多面的な技術である。
今回の展示で目立ったのは、発泡スチロールや軟質フィルムの減容、樹脂種判別、湿式選別、脱墨・洗浄、食品残渣と包装材の分離、粉砕・押出・ペレット化、押出工程での異物除去、PETボトルの水平リサイクル、再生材の用途展開、さらに分解性付与添加剤である。これらの展示からは、プラスチックリサイクルが単に「回収して再利用する」という段階を超え、廃プラスチックの性状に応じて前処理、選別、洗浄、再生、品質管理、用途開発を組み合わせる実務的な技術領域へ進展していることが読み取れた。
発泡スチロールや軟質フィルムは、プラスチックとしては軽量で有用な材料である一方、使用後は非常にかさ高く、輸送・保管効率が悪い。リサイクルを成立させるには、発生場所または中間処理段階で減容し、後工程へ送りやすい形にする必要がある。
なお、会場では、溶融を伴わずに圧縮のみで廃棄物を減容する装置も多く展示されていた。ただし、本稿ではプラスチックを再生材として利用するための前処理技術に焦点を当てるため、単なる圧縮減容装置は主な対象から外した。ここでは、発泡スチロールや軟質プラスチックを、再資源化工程につなげるための減容・高密度化技術を中心に取り上げる。
海洋エンジニアリング株式会社は、発泡スチロール減容機「スチロールポスト」を展示していた。発泡スチロールを粉砕し、加熱・圧縮してブロック状に減容する装置である。処理後のブロックは、EPS原料や成形材料として再利用される。発泡スチロールはそのままでは、実質的に空気を運ぶことになり、物流効率が著しく悪い。したがって、粉砕・加熱・圧縮によるブロック化は、発泡スチロールリサイクルの入口技術として重要である。
株式会社名濃も、発泡スチロールや軟質プラスチックの減容に関わる装置を展示していた。同社はもともと発泡スチロールの減容から出発した企業であり、発泡スチロール専用破砕機、ストックタンク、ペレット化装置などを組み合わせたリサイクルシステムを展開している。また、熱軟化性樹脂減容機「パック・エース」では、PEフィルム、ストレッチフィルム、発泡PEシート、気泡緩衝材など、かさ高い材料を溶融・固化して扱いやすい形にする。溶融させた後は、ブロック(インゴッド)化するほかに、押出してペレット化することが可能である。
株式会社ファー・イースト・ネットワークが紹介していたWIPA Kunststofftechnik GmbHの装置群も、軟質プラスチックや発泡材料の前処理に関係する。WIPAのプラストコンパクターは、フィルム、ストレッチフィルム、発泡材料、粉末、破砕粉などのかさ密度の低い材料を高密度化し、押出工程へ安定供給しやすい状態にする装置である。減容は単なる体積低減ではなく、後工程である押出・ペレット化を安定させるための前処理でもある。
プラスチックリサイクルでは、処理対象が何の樹脂であるかを知ることが重要である。PE、PP、PET、PVC、PS、ABSなどは、比重、融点、熱安定性、成形性、リサイクル適性が異なる。異材が混入したまま押出・ペレット化すると、物性低下、外観不良、成形不良、臭気、変色などの原因になる。
株式会社山本製作所は、近赤外分光法を用いたプラスチック材質判別装置「ぷらしる」と「ぷらしるTACT」を展示していた。「ぷらしる」はハンディタイプの装置で、対象物に近赤外線を照射し、反射光の波形を測定して材質を判別する。PS、LDPE、HDPE、PP、PET、PVC、PMMA、ABS、PA、PC、POM、PBTの12種類を判別でき、プロモードではユーザー独自の波形データも登録できる。
一方、「ぷらしるTACT」は据置型の材質判別装置であり、対象物をかざすだけで1秒以内に判別できる。PP、PE、PS、PET、PMMA、PC、ABS、PVCの8種類に対応し、反射と透過を同時に測定することで、透明品や凹凸のある対象物にも対応しやすい構造となっている。分別作業の標準化という観点では、作業者が迷わず使える据置型装置の意義は大きい。また、番号や色による表示を活用することで、作業者の習熟度に依存しにくい分別作業にもつながる。障がい者雇用の創出にもつなげたいとのことであった。
株式会社リコーは、樹脂判別ハンディセンサー「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」を展示していた。近赤外分光方式により、PS、PE、PP、PET、PVC、ABS、PC、PA、PMMA、PETG、POM、PLA、PBTなどを判別する。スマートフォンアプリと連携し、測定結果を写真やメモとともに保存できる点が特徴である。単なる材質判別だけでなく、受入検査、品質管理、再生材取引の記録にも使いやすい設計である。
株式会社リコーはさらに、「資源循環ナビ」によって、素材が分からない、量が足りない、状況が見えないというリサイクル現場の課題に対し、素材情報、排出情報、回収量などをデータでつなぐ構想も示していた。これは、材質判別を単体装置で終わらせず、地域内の共同回収や再資源化の仕組みに接続する提案である。
フジトク株式会社は、Dr. Timür Seidel社のプラスチック選別機を紹介していた。近赤外分光に加え、スパーク発光分光やマッピング分析を組み合わせる点が特徴である。mIRoSpark2.0は、近赤外分光とスライディングスパーク発光分光を組み合わせ、透明から黒色プラスチックまで対応し、ハロゲン系難燃剤や重金属系添加剤の検出にも対応する。黒色プラスチックは一般的な近赤外分光では判別が難しい場合があり、スパーク発光分光を併用する意義がある。
ワブテック・インスペクション・テクノロジーズ・ジャパン株式会社は、EVIDENTブランドのハンドヘルド蛍光X線分析計「Vanta」を展示していた。これは樹脂そのもののポリマー種を判別する装置ではなく、含有元素を非破壊で分析する装置であり、主に金属の種類を識別するために用いられる。検知可能な元素はMgよりも重いものであるが、プラスチック中の添加剤としてP(リン), Br(臭素)等が含まれている場合はそれを検知することが可能である。ブースに展示していた装置の筐体の樹脂部を測定した結果、リンが1%検出され、リン系難燃剤などの有無確認に使える可能性が示されていた。樹脂種は近赤外分光で判別し、添加元素や規制物質は蛍光X線で確認するという補完関係が重要である。
廃プラスチックは、単一樹脂だけで構成されているとは限らない。発泡体、PE・PP、PVC、小石、金属片、ラベル、食品残渣、インキ、臭気成分などが混在する。これらを分け、汚れを落とす技術が、再生材品質を左右する。
日本シーム株式会社は、破砕、洗浄、脱水、脱墨、脱臭、比重選別など、廃プラスチックの前処理装置を幅広く展開している。今回の展示で特に注目されたのが、渦巻水流型洗浄・選別装置「なるとトルネード」である。回転する水流とアルカリ性薬液を使い、印刷されたプラスチックフィルムからインキを除去する装置として紹介されていた。アルカリで剥離しやすいインクは東洋インキ製造株式会社が開発し、実証実験を行っている。
印刷フィルムのリサイクルでは、インキや塗膜が再生材品質を悪化させる。単に粉砕してペレット化するだけでは用途が限られるため、脱墨・洗浄・脱臭の工程が重要になる。日本シーム株式会社の強アルカリ温水高度洗浄+脱臭装置「アル・デオ」は、水槽タイプの連続式モデルで、循環、保温、中和をひとつのユニットで行う装置である。摩擦洗浄では除去しきれない樹脂表面の汚れや臭気への対応が期待される。
また、日本シーム株式会社は、四種比重選別機「なるとカルテット」も紹介していた。水流や比重差を利用し、発泡体、PE・PP系、PVC系、小石等を分ける装置である。混合廃プラスチックでは、PE・PPとPVCの分離が重要である。PVCの混入は、後工程の押出や燃料化において問題になりやすいため、比重差を利用した選別は実務上有効である。
巴工業株式会社は、廃プラスチック湿式選別システム「プラセンエース」を展示していた。プラセンエースは、水と廃プラスチックを混合して供給し、遠心作用と比重差により、水に浮く軽量物と沈む重量物を分離するシステムである。PE・PPなどの軽質プラスチックと、PVCなどの高比重材料を分けることができる。
プラセンエースは、混合廃プラスチック中のPVCなど塩素含有樹脂の除去に利用できるほか、PETボトル由来材料からPE・PPを分離する用途にも適用できる。湿式処理であるため、選別と同時に洗浄効果も期待できる。一方で、水を使うため、脱水、乾燥、排水処理を含めた工程設計が必要になる。
食品残渣と包装材を分離する技術として、プランテックの「食リサイクル分離機」が展示されていた。これは、食品廃棄物に含まれる包装袋や容器を機械的に分離する装置である。主目的は食品残渣を飼料化、堆肥化、メタンガス化などに回しやすくすることであるが、同時に包装材側をリサイクル処理へつなげる前処理とも位置づけられる。食品残渣と包装材が混在した状態では、どちらの処理も困難になるため、このような分離技術は食品リサイクルとプラスチックリサイクルの接点にある技術といえる。
株式会社名濃は、破袋分別機を展示していた。容器・包材入りの食品を、容器と中身に分け、食品残渣を飼料、肥料、メタンガスなどに利用するための装置である。資料では、分別率が重量比で99%と示されており、食品残渣と包装材の分離を高効率で行う装置として紹介されていた。
株式会社モキ製作所は、「分離職人」シリーズを紹介していた。分離職人は、遠心力と風力を利用し、包装された食品廃棄物を内容物と包装材に分ける装置である。高速回転するインペラにより包装材を破袋し、内容物を下部排出口へ、包装材を前方排出口へ搬送する。分離職人は、袋入り食品、個包装食品、大袋入り生ごみ、缶・PET、廃プラなど、多様な処理物に対応する。食品残渣は飼料化、堆肥化、メタンガス化へ、包装材は廃棄またはリサイクル処理へ回しやすくなる。廃プラにドリップやクリームなどが付着している場合には、遠心力で脱水・汚物回収を行い、重量を減らすことで処分費削減にもつながる。
この分野は、プラスチックリサイクル単独というより、食品リサイクル、バイオガス化、廃棄物処理、包装材リサイクルの接点にある。食品残渣と包材を分けることは、双方を資源化するための入口である。
廃プラスチックを再生材料として使うには、粉砕、洗浄、選別の後、押出・ペレット化する工程が必要になる。再生ペレットにすることで、成形加工やコンパウンド、材料流通に乗せやすくなる。
株式会社名濃は、成形品の粉砕機、スクリーンチェンジャー、ペレタイザーを一体化したラインを展示していた。同社は発泡スチロールや軟質プラスチックの減容に加え、粉砕からペレット化までを扱う。ペレット成形タイプのペレタイズシステムでは、熱可塑性樹脂に対応し、スクリーンチェンジャーを標準装備するなど、再生材製造に必要な機能を備えている。金属探知機は内蔵されていないが小さなビスであればスクリーンで捕捉される。
株式会社ファー・イースト・ネットワークは、POLYSTAR Machinery Co., Ltd.のプラスチックリサイクル用押出・ペレット化装置を紹介していた。POLYSTARは「Recycling Made Simple」を掲げ、フィルム、硬質粉砕品、発泡材などを押出・ペレット化する装置を展開している。Repro-Flex、Repro-Flex Plus、Repro-One、Repro-Directなど、投入材料や供給方式に応じた複数のタイプがある。
粉砕品専用の汎用型押出機では、PE、PP、ABS、PSなどに対応し、粉砕硬質プラスチック、HDPEボトル、パイプ、発泡EPSなど幅広い材料を対象とする。センサー制御による安定供給、ベントによる脱ガス、デュアルピストン式スクリーンチェンジャー、ホットカットまたはストランドカットなど、再生押出に必要な機能が整理されている。
日輝通商株式会社は、再生材の調達・加工・販売に加え、コンパウンドペレットの製造も展開している。PP、PE、ABS、バイオマス材などを用途に応じて供給し、PIR材、PCR材、バイオマス材を要求物性に合わせて最適化する姿勢が示されていた。再生ペレットは、単に廃材を粒状にするだけでなく、用途に応じて物性を調整し、市場で使える材料に仕立てている。
リサイクル原料には、破砕・洗浄・選別を経ても、紙、木片、アルミ、ラベル、接着剤、未溶融物、炭化物などの異物が残ることがある。これらは押出工程でスクリーンの目詰まり、圧力変動、ライン停止、再生ペレット品質低下の原因となる。そのため、押出工程におけるフィルタリング技術は、リサイクル材の品質と生産性を左右する。
株式会社ファー・イースト・ネットワークが紹介していたFIMIC S.r.l.は、溶融樹脂中の異物を自動的に排出するメルトフィルターである。展示資料では、未洗浄の市場回収HDPEやLDPE粉砕品について、加工前スクラップ、排出された異物、フィルター済みペレットの例が示されていた。異物量の多い原料でも連続運転しやすく、省人化につながる装置である。
アタリス株式会社は、イタリアBREAK MACHINERY社製の自動洗浄機能付き連続式レーザーフィルター「DUO」と「ONE」を紹介していた。DUOは2枚スクリーンと自動洗浄機能により、出口樹脂圧を一定に保ちながら連続ろ過を行うフィルターシステムである。異物を多く含む材料にも対応し、フィルムやシート製造ラインのように樹脂圧の安定性が求められる用途にも適用できる。
ONEは、1枚スクリーン型の自動洗浄フィルターである。フレコン、ブルーシート、農ポリ、ストレッチフィルム、容器包装リサイクル材、アルミ蒸着フィルムなど、異物や付着物を含みやすい材料に適している。溶融樹脂をスクリーンでろ過し、異物をスクレーパーで集め、樹脂圧によって自動排出する構造である。
汚れた市場回収材や産廃系プラスチックを実際に再生ペレット化する際、スクリーン交換や目詰まりによるライン停止を減らし、連続運転性を高める点である。再生材の品質向上だけでなく、作業者負担の軽減と生産性向上にも関わる技術である。
PETボトルリサイクルは、プラスチックリサイクルの中でも実用化が進んでいる分野である。回収ルートが比較的整備されており、材質も無着色PETにほぼ限定されるため、水平リサイクルに向いた材料である。ただし、飲料ボトルに戻すには、回収、選別、洗浄、異物除去、IV値管理など、高度な品質管理が必要となる。
株式会社寺岡精工は、ペットボトル回収装置を展示していた。セブンイレブンに導入済みであり、店頭回収システムとして実用化が進んでいる装置である。ボトルを潰す際に、飲み口が破損して樹脂片にならないように飲み口を右端に寄せてセットし、プレスの際の力を制御している。店頭回収装置は、消費者参加型の資源回収インフラとして位置づけられる。
協栄産業株式会社は、PETボトルリサイクルを中核とする資源循環企業として、ボトルtoボトル水平リサイクルやFtoPダイレクトリサイクルを紹介していた。同社は、使用済みペットボトルを「都市から湧き出る油田」と捉え、回収、選別、粉砕、洗浄、フレーク化、ペレット化、ボトル化までの循環を事業として展開している。
特に注目されるのが、サントリーと共同開発したFtoPダイレクトリサイクル技術である。FtoPはFlake to Preformを意味し、PETフレークからプリフォームへ直接つなげる技術である。従来は、フレークをいったんペレット化し、そのペレットからプリフォームを成形するが、FtoPではペレット化工程を省略する。これにより、工程数、熱履歴、エネルギー消費、CO2排出量の低減が期待される。
協栄産業株式会社は、高品質再生PET樹脂「MR-PET」、IV値コントロール技術を用いた「KR-PET」、無添加樹脂「R-PET」なども展開している。PET樹脂は再生時の加水分解によってIV値が下がりやすいため、ボトル成形用に戻すことは困難であったが、再生時の加水分解抑制技術を確立させたことで、PETボトル用以外にも繊維用やフィルム用といった、用途に合ったIV値の再生PET樹脂が供給可能となった。これらの開発は材料メーカーと共同で行っている。
株式会社湘南貿易のブースでは、EREMA Engineering Recycling Maschinen und Anlagen Ges.m.b.H.のプラスチックリサイクル装置のパネル展示も行われていた。詳細な装置説明は限定的であったが、協栄産業はEREMAの装置をベースにPET樹脂のリサイクル技術を確立している。。
リサイクル技術は、廃プラスチックを処理するだけでは完結しない。最終的には、再生材として品質を確保し、材料・成形品として使用できることが重要である。今回の展示では、再生PP、再生PE、再生PET、PCR材、PIR材、成形品展開、自社製品循環など、再生材を実際の用途へつなげる展示も見られた。
前述した日輝通商株式会社は、廃プラスチックの買取、加工、販売、成形品化までを扱う企業である。展示では、マテリアルリサイクル材、再生ペレット、リサイクル・リユースパレット、IBCコンテナ、成形品事業などが紹介されていた。同社の特徴は、原料の仕入れから、圧縮・粉砕・ペレット化、コンパウンド加工、販売、成形品化までを一体で扱うワンストップ体制にある。
自動車用PPについてはPIR材のみと記録されていた。自動車用途は、物性、耐熱性、臭気、安定供給、トレーサビリティなどの要求が厳しいため、PCR材よりも由来や品質を管理しやすいPIR材の方が導入しやすい。ただし、欧州のELV規制に対応するためには自動車部品to自動車部品が必要になるため、今後の課題とのこと。
川上産業株式会社は、気泡緩衝材「プチプチ」を中心とする包装資材メーカーであり、PE・PP系再生原料と、自社製品を起点とした資源循環の取り組みを示していた。なお、「プチプチ」は川上産業株式会社の登録商標である。同社は「プチプチ環境宣言2030」として、再生100%、PCR使用 55%、CO2 排出80%削減という目標を掲げている。
PCR含有率70%、PIR材を含めて98%といった高い再生材比率の展示されていた。同社は、自社製品であるプチプチの回収・再生に加え、ストレッチフィルムなど周辺のPE系フィルム資源にも対象を広げている。製品メーカー自身が回収、再生、用途開発に関与することで、再生材利用を単なる材料調達ではなく、製品循環として設計している点が注目される。
同社は「RE:PELLET LAB」として、再生原料の提供と導入支援も行っている。20年以上の再生材活用実績、国内100社以上のパートナーネットワーク、分析・改質・試作・量産立ち上げまでの一気通貫支援を強みとしている。再生材は、バージン材よりもロット差、異物、臭気、成形性などの課題が出やすいため、材料評価と用途開発を伴う取り組みが不可欠である。
今回の展示では、マテリアルリサイクル関連の装置や再生材展示が中心であったが、ポリスチレンのケミカルリサイクルに関する関連展示もあった。株式会社山本製作所のブース内では、東洋スチレン株式会社を中心とした千葉県市原市のポリスチレン資源循環の取り組みが紹介されていた。
ポリスチレンは、熱分解などによりスチレンモノマーへ戻すケミカルリサイクルの対象として注目されている樹脂である。モノマーに戻す前に使用済みプラスチックからPSのみを取り出すために山本製作所の装置を使って分別するという考え方である。展示パネルでは、回収されたポリスチレンのすべてがスチレンモノマーに戻るのではなく、スチレンモノマーとして回収される割合は50%とされていた。残りの成分は、主に工場のボイラー用燃料として活用される。したがって、この取り組みは、ポリスチレンを全量モノマー化する技術というより、モノマー回収とエネルギー利用を組み合わせた資源循環モデルとして理解するのが適切である。
回収されたスチレンモノマーは、再びポリスチレン原料として利用される。その際には、マスバランス法により、100%PCR由来のポリスチレンとして扱われる(回収原料由来のスチレンモノマーを原料系に投入し、認証・管理されたマスバランスの考え方に基づいてPCR由来ポリスチレンとして位置づける)。市原市では乳酸飲料メーカーとのコラボにより乳酸飲料容器の水平リサイクルに取り組むとプレスリリースされているが、PETボトルのリサイクルとは異なり、厳密に言うと水平リサイクルではない。
株式会社湘南貿易は、ピーライフ・ジャパン・インク株式会社の微生物分解性プラスチック添加剤「P-Life」を紹介していた。P-Lifeは、PE、PP、PSなどの汎用プラスチックに添加することで、使用後に自然環境中での分解を促進することを狙った添加剤である。PLAやPBSのような生分解性樹脂そのものではなく、既存の汎用樹脂に微生物分解性を付与する添加剤として位置づけられる。
資料では、P-Lifeを添加したプラスチックが、光、熱、空気の作用を受けて低分子化し、その後、微生物による代謝によって二酸化炭素、水、微生物群へと循環する流れが示されていた。PE用マスターバッチでは推奨添加量1.5~5.0%、PP用では3.0~10.0%が示されている。慶應義塾大学による研究成果として、P-Life添加プラスチックの分解に関与する微生物の種類が特定されたことも紹介されていた。分解性付与添加剤については、実際の分解挙動が環境条件に左右されるため、こうした微生物レベルでの検証は、技術を評価するうえで重要な情報となる。
用途例としては、レジ袋、ゴミ袋、包装材、農業用フィルム、苗木保護資材、食器類などが挙げられていた。特に、回収が難しい屋外用途や農業用途では、使用後の処理負担を減らす選択肢として訴求されている。
P-Lifeのような分解性付与添加剤は、マテリアルリサイクルとは異なる環境対応技術である。回収・再資源化が難しい用途に対する補完的な選択肢になり得る一方、既存リサイクルルートへの混入、使用中の耐久性、分解条件、表示・規格適合などを慎重に評価する必要がある。
今回のNEW環境展2026では、プラスチックリサイクルに関わる多様な技術が展示されていた。
発泡スチロールや軟質フィルムは減容し、混合廃プラスチックは判別・選別し、汚れやインキ、臭気を除去し、食品残渣と包装材を分け、押出工程では異物を取り除き、再生ペレットや再生材として用途へつなげる。PETボトルでは、回収インフラからダイレクトリサイクルまで、水平リサイクルの高度化が進んでいる。一方で、ポリスチレンのモノマー回収や、汎用プラスチックへの分解性付与添加剤など、マテリアルリサイクルとは異なる選択肢も示されていた。
プラスチックリサイクルは回収、判別、分別、洗浄、脱水、乾燥、押出、フィルタリング、ペレット化、材料設計、用途開発までを、対象材料に応じて組み合わせる必要がある。プラスチックの資源循環は、理念ではなく、個々の工程技術の積み重ねによって実現される段階に入っている。
加えて、昨今のナフサ不足は、皮肉にもプラスチックリサイクルへの関心を高める追い風となっている。会場でも、再生材、選別技術、洗浄技術、押出・ペレット化装置などに対する関心の高さが感じられ、プラスチックリサイクルをめぐる熱気があった。しかし、この機運を一時的なブームで終わらせてはならない。ナフサの供給問題が終息すれば、バージン材回帰の圧力が再び強まる可能性もある。だからこそ、短期的な原料不足への対応にとどまらず、資源循環、脱炭素、国内資源確保、廃棄物削減を見据えた継続的な技術開発と社会実装が必要である。
プラスチックリサイクルを本当に定着させるには、民間企業の技術開発だけでは不十分である。回収インフラ、品質規格、再生材利用を促す制度設計、自治体や排出事業者との連携、消費者の分別行動まで含め、官民一体となった取り組みが求められる。
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