展示会レポート Inter Pac 2026
松田修成
マツダ包装技術W&R
1.はじめに
インターパック(Interpack)は、3年に一度、ドイツで開催される世界最大の包装総合展で、加工・包装関連の企業が世界中から集合する。昨秋開かれたK展と同じ、デユセルドルフのメッセ・デユセルドルフの会場でおこなわれる。
インターパックは、包装のバリューチェーンを網羅した情報発信がなされる。すなわち、「原材料➡包装材➡包装機械➡充填➡検査➡物流➡リサイクル」という流れ、そして、食品、飲料、製菓、医療、化粧品から工業製品までの全産業の包装技術についての最新技術とトレンドが最も早く可視化される国際展示会と自負している。
Interpack2026の日程は、2026年5月7日~13日(7日間)であった。国際展示会の規模感を掴んでいただくために、身近な包装関連展示会との比較を表1に示した。
表1 各種展示会との規模比較
| 展示会 | 年 | 出展組織数 社 |
出展国数 ヶ国 |
展示面積 m2 |
来場者 人 |
来場者国数 ヶ国 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| インターパック | 2026 | 2804 | 65 | 約18万 | 約14万 | 161 |
| 2023 | 2728 | 61 | 176600 | 142060 | 156 | |
| K2025 | 2025 | 3257 | 66 | 178000 | 175000 | 160 |
| Tokyo Pack | 2024 | 725 | 18 | 51000 | 70712 | 63 |
| JAPAN Pack | 2025 | 563 | 12 | 40450 | 33464 | ― |
日本での包装関連の展示会Tokyo PackやJAPANPACKと比べると、数倍の規模をもち、出展国数や見学者の国数を比較すると大きな差があることがわかる。インターパックでは、ほとんど世界中の国と地域から見学者が来ており、出展国数も60ヶ国以上である。同じ会場でおこなわれる国際プラスチック展(K展)と比較すると、出展企業数、来場者数共に、一回り小さいようにも思えるかもしれないが、展示面積は同じで、メッセの会場を全て使い、18号の名称で、特別棟を設けるのもほぼ同じであり、連続して両展示会を訪れた私でもほぼ同じと思える規模感である。
今回のインターパック2026のポイント・トピックスとしては、事前の案内で、
・Smart Manufacturing (スマート製造)
例:AI搭載包装ライン、ロボテイックス、デジタルツイン、予知保全
・Innovatine Materials(革新的な材料)
モノマテリアル化、PCR・バイオベース
・Furure Skill(将来のスキル)
自動化ラインを扱う人材、AI支援オペレーション、安全企画対応
というキーワードであるとの案内があった。また、背景としては、この夏に適用が予定されているEUのPPWR対応がある。
2.飲料ボトル関連の企業と出展
クロネス(Krones)は、あらゆる飲料容器のオーダーメイドの充填ライン企業、いわゆるターンキー企業の代表的なドイツ企業である。充填、ラベリング、包装工程のいずれでも、そして水、ビール、ソフトドリンク全ての飲料カテゴリー、全工程、全容器タイプに対応するカスタマイズされたラインソリューションを提供するとしている。
そのブースで、まず驚いたのは、展示内容よりも3Dショールームであった。精巧なグラフィックと大きな音響で非常に効果的なプレゼン映像が流れていた。この装置は、Polypic GmbHが、クロネス向けに開発した最新のインタラクティブ3Dショールームで、製品とブランドのプレゼンテーションにおける新たな基準を打ち立てたと言われ、2026年の“German Design Award”の Winnnerにもなっているものである。展示会、販売、トレーニング、顧客エンゲージメントなど、幅広い用途で活用できると評価されている。このショールームでは、生産ラインをリアルかつインタラクティブに体験でき、ユーザーは詳細レベルを切り替えたり、機械の動作を確認したり、ホットスポットを介してコンテンツを探索したりできる。アクセスはローカル接続またはPixel Streaming経由で手軽に行える。アワード受賞理由としては、優れたコミュニケーションデザインと効果的なユーザー体験とのことである。このショールームにおいてクロネスのラインを導入した場合の工場をリアルかつインタラクテイブに見せてくれていた。
実物の方の展示では、PPWRに完全対応というアナウンスの下、飲料容器の集合包装について、そのバンドとホルダーを紙製のものでライン走行をさせてみせていた。環境に優しいのは当然、強度的にも全く問題はないとのことである。
シデル(Sidel)は、クロネスと並ぶ、飲料ターンキー企業で、飲料、食品、家庭用品、パーソナルケア製品向けの包装ソリューションを提供する世界有数の企業である。
飲料容器のライン上を不揃いで流れていく多数のボトルを素早く的確に押して整列させていく自動整列ラインが、高速で独特の動きと機構を見せて、多数の見学者の注目を引いていた。
・対応できるボトルのデザインに制限なし
・毎分320ボトル
・切替時間 3分未満
・対応可能ケースカウント:3本x1列から8本x6列まで
とAI制御で、ハイスピード、柔軟性を両立させている装置である。
ドイツ・ドルトムントに本社を置くKHSは、飲料:充填、梱包ラインの企業であり、ドイツ国内に5つの開発・生産拠点を持ち、米国、メキシコ、ブラジル、インド、中国にも工場を運営している。
同社は、包装に使用するプラスチック材料の量の削減をモニュメントで展示、アピールしていた。従来の飲料ボトルの集合シュリンク包装とKHSのNature MultiPackでの使用量の比較で、大きな差がでている。
Nature MultiPacは、特別に開発された接着剤ドット(点接着)を使用して、PETボトル同士や缶同士を接着し、4個、6個、または8個の容器をパックに成形したものである。要望に応じて、ハンドルなしのパックも作成可能とのことである。このパックが環境に優しいだけでなく、KHSの包装装置のInnopack Kisters Nature MultiPackerについても設置面積が小さく、洗練されたデザインも魅力的である。ハンドルを必要としない場合には、ハンドルアプリケーターを省略できるため、機械の寸法はわずか10.8メートルになる。また、従来方式の集合包装との比較では、シュリンクトンネルが不要になるため使用するエネルギーも節約できる。
飲料ボトル関連の最後は、展示場会場北口のすぐの場所に設けられた「スポットライトフォーラム」で紹介されたプレゼンの中から、紙製ボトルの開発品を紹介する。
ギリシャのTaste Greece GmbHであり、「紙製ボトル:液体食品向けの製品は安全かつ資源は本当に充分なのか?」という副題とともに紹介していた。この開発品は、ボトルの外観は板紙でつくられており、内部は軟包装パウチとなっている。
使用するプラスチック材料を紙製に変えるのだから、大幅な減プラとCO2削減は当たり前で、大きな工夫として、この紙製容器は簡単に解体できるようになっている。写真9のように、所定の部分を指で少し強く押してやると、消費者にも簡単に容器が開く。そして解体後、プラパウチの部分は、Yellowの回収ビンへ、板紙部分はBlueの回収ビンへと入れる。だれにもわかりやすく、リサイクル工程への良い影響を与えるとアピールしていた。スーパーでのプロモーションの様子も見せてくれ、意外に進んでいるようにも思えた。
ラベル大手のCCLは、リサイクルシステムを阻害するのではなく、支援するラベルの設計に注力している。包装材は、意図せずリサイクルの流れを妨げてしまうことがあまりにも多い。密度、収縮性能、分離性など、素材の特性を正確に考慮したラベルを設計することで、視覚的な魅力を維持しながら、リサイクル材の品質向上に貢献するとしている。
CCLの展示ブースでは、低密度オレフィン性ラベルのEcoFloatや、Washoff Label感熱ラベルの剥離のデモンストレーションがおこなわれていた。
ecoFloat®シュリンクスリーブは、低密度ポリオレフィンから作られており、PETリサイクルの工程では、水面に浮き、より重いPETボトル破片は沈むことになる。これにより、浮沈分離方式のリサイクルプロセスにおいて効率的な分離が可能となり、高品質のPETリサイクル材を回収してボトルからボトルへの再利用に活用できる。この技術は、RecyClassやプラスチックリサイクル協会などの団体から高く評価されており、南アフリカのPETリサイクル業者からも承認されているという。
このシリーズの新しい展開としては、光に敏感な製品向けに設計されたEcoFloat® Whiteが導入された。これにより、ブランドは製品の保護を維持しながら、不透明なパッケージから透明なPETボトルへの移行が可能になる。リサイクル性が向上し、PETリサイクルにおける材料回収率も向上する。透明なPETボトルは、食品グレードの容器にリサイクルできる唯一のパッケージであり、サーキュラーエコノミーを効果的に実現できる。
他の物としては、PET容器システムで使用される工業用洗浄工程で、きれいに剥がれるように設計された感圧ラベル「WashOff™」の紹介もあった。これにより、ブランドイメージを維持しながら、容器の効率的な再利用が可能になるとしていた。
3.フィルムメーカー、コンバーター
フィルムメーカーの展示では、インド、中東の企業が元気で、広い大型のブースでの展示が目立っていた。
ポリプレックス(Polyplex)は、インドのフィルムメーカーで、PETフィルムの生産能力は、世界第7位の規模をもっているといっている。様々な厚みと表面特性を備えたPETフィルムを持ち各種の用途への対応可能である。その他、最新鋭、かつ大規模規模の工場で生産されるBOPP、ブロー成形PP/PE、CPPフィルムも含まれる。蒸着メタライズ、ホログラフィ、シリコーンコーティング、オフライン化学コーティング、押出コーティング、転写蒸着ペーパーといった機能性加工により、付加価値の高い製品も提供している。
なお同社は、主要な地域市場の近くに生産拠点を持っている。具体的には、インド、タイ、インドネシア、トルコ、米国の5カ国7拠点でグローバルな生産拠点体制を構築しており、その様子を表2に示した。レジンの生産能力が計43万トン、PETベースフィルムが34万トン、OPPベースフィルム9.5万トン等で、リサイクル材料としても、タイに6万トン弱の処理能力をもっている。世界のフィルム市場での存在感の大きさが見えてくる。
表2 ポリプレックスの生産拠点の生産能力と地理的分布
| レジン | ベースフィルム | 機能性フィルム | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PETフィルムレジン | メカニカルリサイクルレジン | PETフィルム(薄物) | PETフィルム(厚物) | 蒸着 | ホログラフィ | コート | |
| インド | 77600 | ― | 55000 | ― | 32500 | 5040 | 257 |
| タイ | 106050 | 59700 | 42000 | 28800 | 21700 | 480 | 985 |
| トルコ | 75850 | ― | 58000 | ― | 20700 | ― | 320 |
| 米国 | 86000 | ― | 81000 | ― | 9250 | ― | 120 |
| インドネシア | 90000 | ― | 48000 | ― | 18000 | ― | ― |
| 計 | 435500 | 59700 | 284000 | 28800 | 102150 | 5520 | 1682 |
| 今後増設予定 | 52400 | インド | インド・トルコ | 284 | |||
バク・アムバラジ(Bak Ambalaj)は、1973年創業のトルコを代表する軟包装会社である。トルコのイズミル・アタチュルク工業団地に4つの生産施設をもち、従業員700名以上、印刷、及びラミネート加工の軟包装材を製造し、70%以上を主に西欧に輸出している。トルコの生産施設に加え、ヨーロッパと米国にも物流拠点を構え、世界中へ非常に迅速な配送が可能とのことである。環境対応のモノマテの軟包装パウチの例を示した。
ガルフパック(Gulf Pack)は、中東地域におけるBOPPおよびCPPフィルムのリーディングカンパニーで、サウジアラビアにある最先端の製造施設と高度な自動倉庫システム(ASRS)を備えた倉庫により、世界中のユーザーに卓越した包装ソリューションを提供することが可能といっている。2030年までにOPP 4ライン、金属蒸着を4装置をBruckner、W&HやBOBSTといった一流メーカーの最新鋭の装置を導入し、更に増設する計画とのことである。
フレックス・フィルム(FLEX Film)は、インド最大の多国籍フレキシブル包装ソリューション企業であり、世界的な樹脂企業であるユーフレックス(UFlex Limited)のグローバルフィルム製造部門である。
今回は巨大なブースで出展し、同社の国際性を誇示する展示をしていた。生産能力としては、世界の主要大陸のすべてに最先端の包装フィルム製造施設を有し、その累計生産能力は60.9万トンを超えるといっている。具体的に、地域別に国を示すと
・インド、UAE(アラブ首長国連邦)、エジプト
・ポーランド、ハンガリー、ロシア
・メキシコ、米国、
・ナイジェリア
に最先端の製造施設の生産拠点を構えている。更に南インドのダールワドに新たな包装フィルム工場を建設中とのことである。
また、広大な展示ブースの中央部に、リサイクル材料も展示し、この分野にも注力していることを説明員は、アピールしていた。彼らの環境対応アイテムには、透明蒸着フィルムF-PUXがあり、その代表特性を図表16に示しておく。
4.紙メーカー
サッピ(Sappi)は世界有数の紙メーカーのひとつである。1936年の南アフリカでのパルプ・製紙工業企業の設立から始まり、社名はすぐに「SA Pulp」と略され、後にサッピとして知られるようになった。現在は、パルプ、包装用紙、特殊紙、グラフィック用紙、バイオマテリアル、生化学製品を150カ国以上のユーザーに提供する、多角的な木材ファイバー企業となっている。
今回のインターパックでは、プラスチック代替としての採用された多数の紙系ベースを使用したサンプルをブースに展示していた。この中には、どの企業と共同でやっているかを明記のサンプルが多かったのでその一部を表3にして示す。
表3 サッピ共同開発品のユーザーと包装形態
| 共同開発・ユーザー | 内容物 | 包装形態 |
|---|---|---|
| SACMI | チョコレート・バー | 3方シール包装 |
| ACMA | キャンデイ | ひねり包装 |
| Huhtamaki | アイスクリーム・コーン | コーン巻紙 |
| Koening & Bauer | チョコレート | スタンデイングパウチ |
ケラー・ペーパー(Koehler Paper)は、高品質特殊紙の開発と製造、具体的には感熱紙、トランプ用ボード、コースター、高級紙、カーボンレス紙、再生紙、装飾紙、木材パルプボード、昇華転写紙、そして2019年からは包装業界向けの革新的な特殊紙に参入している。ドイツに5生産拠点と米国に3生産拠点をもっている。従業員約2,500人で輸出比率約70%、売上高約11億ユーロである。
ケラーのブースは多数のサンプルを用途別に分けて展示してありわかりやすかった。菓子、チョコレート類のサンプルが多かったが次の述べるような例もあった。
オートミール用袋に「Koehler NexPlus® Seal Pure MOB」を採用。このフレキシブル包装用紙はヒートシールが可能で、鉱物油バリアが組み込まれており、乾燥食品の軟包装に適している。採用のバリア紙は、製品保護特性と同時に、持続可能性に関する高い要件も満たしている。CEPI(欧州製紙工業連盟)によると、この素材は紙のリサイクルサイクル工程でリサイクル可能であり、既存のリサイクル体制にシームレスに組み込まれる。
このような中、開発品として、紙製の台紙側にも優秀なバリア特性をもち、肉や魚といったタンパク質系内容物の包装に応用できるスキン包装を展示していた。また、台紙側に紙ベースの上にラミ品を使っている対応例はサーモンの切り身に対するスキン包装であった。
5.グローバル包装機械メーカー
Syntegon(シンテゴン)は、ドイツのグローバル包装機械メーカーである。旧称は、自動車部品等の大手企業Boschグループのボッシュ・パッケージングであり、2020年に投資ファンドが株主となり、名称が変更になった。同社の今回展示会でのテーマは、「工場の未来をシンテゴンと共にRe:imagine(もう一度考えよう)“と呼びかけているものである。
シンテゴンの展示からは自動化ソリューションと医薬品製造の完全統合型ラインの2点を紹介する。
neXt:単なる機械のプラットフォームではなく、装置、シームレスな運用コンセプト、AI、データに基づく意思決定支援を運用、エコシステムに統合した、統合的な自動化ソリューションである。これらのイノベーションは、シームレスで革新的なライフサイクルソリューションに注力するというシンテゴンの方針と合致している。
①ハイスピード・自動生産~包装・梱包までの一貫ライン
②シームレスな運用により、作業員は遠隔地からでも、すべてのラインの状態を常に把握することができる。
シンテゴンのブースで背が一番高く、目立っていたのが、フローラッピング用のSyntegon HFXとトップロード式カートニング用のSyntegon TRX等を組み合わせたneXtシステムラインである。これは、ますます複雑化する生産環境において、柔軟性、効率性、そしてオペレーターの独立性をいかにして実現できるかを実証しているソリューションという。
スタッフが2人掛かりで、多数ならべた菓子バーのサンプルが一旦非高いところまで持ち上げられてストックされる。デモンストレーションが開始されると、非常に速いスピードで処理されていくための準備であった。AI制御で、非常に高速でも正確に処理していける。その様子の一連の流れの一部を写真でしめす。
- 写真21 サンプル整列
- 写真22 装置①サンプルは高所へ
- 写真23 装置② 包装前のポジショニング
- 写真24 装置③横ピロー3方シール包装部分
- 写真25装置④ シール部検査
- 写真26装置⑤カートニング
シンテゴン高速充填一貫ライン
もう一つのシンチソ(SynTiso)は、医薬品製造のための完全統合型無菌充填ラインであり、医薬品製造から包装までを、ラボ装置スケールのサイズの中で、少量実用化のスケールまでをこなす。
このシステムは、稼働時間、処理能力、および規制上の信頼性を一つのシステムで解決するために、大手製薬メーカーと共同開発されたものである。具体的には、「手袋不要のアイソレーター技術」、「ロボットハンドリングシステム」、そして「非接触型容器搬送を組み合わせ」を組み合わせた完全統合型無菌充填ラインである。
具体的な性能としては
・毎分600個のコンテナ:業界トップクラスの処理能力
・切替え時間を50%短縮:より多くの製品を、同じ設置面積で
・汚染リスクの低減:バッチ不良の減少、規制上のリスクの軽減
・付属書1枚の準拠設計:後付け改造、回避策不要。設置時からEUの最高GMP基準を満たすように設計されており、市場参入とブランドイメージを保護できる。
・将来を見据えたアーキテクチャで、パイプラインの拡張に合わせて拡張可能とのことである。
コエシア(Coesia)はグローバル包装機械メーカーの大手グループである。GD、ACMAが中心になり、頻繁なM&Aで巨大化し、2005年にCoesiaグループに名称を変更した。当時は6社であったが、2017年には15社、そして現在(2026年5月)は、21社の大きな企業グループとなっている。売上高も2017年15億ユーロ(約1900億円)が、現在は、21.07億ユーロ(約3800億円)となっている。いつも斬新なデザインの展示ブースに驚かされるが、今回もその巨大で、その洗練され新鮮なデザインと配置に驚く。スーパーの店頭をイメージできる大型のデイスプレイや目玉の一つとしてAIの会場案内を3台も配置し、「私がお手伝いします」と見学者に話し掛けてくる。時代のトレンドをうまく掴んで訴えてくる。
このコエシアの広いブース内では頻繁にプレゼンテーションがおこなわれ、見物客を集めていた。その中から「医薬品包装分野」のグループのテーマについてのものを示す。表4にまとめたが、包装ラインの工程別に一貫してコエシアグループ内の企業が連続的に関わることができる。そして、最終のメンテナンス、サービスでは、AIのバーチャルアシスタント(写真29)は、メンテナンス、トラブルシューテイング期間全般を通じて、技術者をサポートしてくれるとのことである。このように、グループとしての総合力、技術力を誇示していた。
表4 工程とグループ企業の関係
| 工程 | 分担企業 |
|---|---|
| Tube充填 | Norden |
| Vial&Bottle充填 | GF |
| HFFS&ステイックパウチ充填 | ENFLEX |
| SVP&LVP検査 | GF |
| アッセンブリー | GD、GF |
| カートニング | MGS、Norden |
| ケース パックイング | MGS |
| プリンテイング | HAPA、AMACO |
| MES | autoware:パートナー |
イマ(IMA)は、医薬品、医療機器、食品、消費財の加工・包装用自動機械の設計、開発、製造、および産業プロセスの自動化において世界をリードする企業のひとつで、連結売上高(2024年)は、23億ユーロ(180円換算:約4100億円)、輸出比率は約87.6%に達する。従業員7,400人以上、約80カ国に拠点をもち、生産拠点としては、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、スペイン、英国、アイルランド、米国、インド、マレーシア、中国、アルゼンチンの12ヶ国に56ヶ所との事である。
IMAも、生産から個別包装、梱包までを高速一貫生産装置の展示に大きな面積を割いていた。AI、自動化によって、技術的にも進歩が著しいといえる。
https://imagroup.com/machines/euro-88-pp/
写真のように現状のポジショニングを捉えて、高速で正しい位置に直していく。説明では、ズレ角度として、±45°まで対応可能で、1分間に150ケの処理ができるということであった。
ムルチバック(Multivac)は、ドイツの包装機械大手で、世界160カ国以上に80以上の拠点、16の生産拠点を持ち、従業員数は7,000人である。
前回3年前のInterpack2023の時には、ベーカリー製造のFRITSCH(フリッチェ)や食肉加工のTVIのような近年MULTIVACグループの一員となった企業にフォーカスした展示をしていたが、今回は、次世代のハム・スライスライン「NextGen」を発表し、多くの見物客の注目を引いていた。
このスライス食品(ハム、チーズ)のラインは、コンパクトさ、効率性、衛生面で新たな基準を打ち立てる、コールドカットのスライスと包装のための次世代ソリューションと言っており、次のような特徴をもっている。
・同等のラインと比較して最大28%の設置面積削減
・食品のスライサーへの投入から個々の包装まで、エンドツーエンドの歩留りについてのモニタリング
・最大限の柔軟性を実現する工具不要の迅速な切替え
・細部に至るまで衛生的な設計
・幅広い製品の種類でも高い生産性を実現
各種のハム、ハードチーズなどの用途向けに設計された「NextGen」スライスラインは、加工業者と小売業者が完全な透明性、高い効率、そして測定可能な最適化の可能性を引き出すのに役立つ新製品である。
2つの別々の供給ラインから供給される多種の製品を、トレイに高効率かつ同時に包装するためのTXトレイシーラーライン、AI制御による製品識別とインテリジェントな「プリント&供給」ラベリングにより、トレイシーラーの能力を最大限に活用することができるとのことで、高速性と柔軟性を合わせ持っている。トレイ表面に張られたラベルの写真をしめす。(写真37)
成型トレイに関する注目の技術としてワトロン(Wattron)の熱成型用ヒーターを紹介する。従来のヒーターでは、シートに対し、一定の温度しか加えることができないため、成形時に、変形する部位は、より伸ばされてしまい必要以上に薄くなる等により、厚みのバラツキが起こり,またそれによるひずみも発生、変形することもあった。
新装置では、成形後の厚みが均一になるように加熱分布を付える。そのため、ひずみの低減、シート厚みの平均厚みの低減も可能になる。
具体的には、熱成形用ヒーター セルに分割されており、微小区画ごとに温度制御が可能である。温度プロファイルを設定するために、個別に調整可能な多数の5 mm × 5 mmの加熱ピクセルで構成され、温度制御の精度は±2 K、測定精度は±1Kとのことである。(写真39)
その技術によって成型されたサンプルの例を升目表示のサンプルの写真でしめす。非常に良好な分布に出来上がっている様子がわかる。(写真40)
ムルチバックが関連技術として紹介していたトップシールのシール部の欠点検知装置の様子を写真40に示す。シール部の欠点を小さなコンタミでも検知できるもので、四角いシール部の黒く見えている所に欠点を検知している事例である。
ULMA社も、熱成形機トレーシーラー機、ピロー包装機などの包装機械メーカーである。トレンドのプラスチック削減の動きの中で、次のような検討を進めているとのことである。薄肉化の検討では、日本では約400μm帯が多い中、200~250μm厚みといったより薄いレンジにまで及ぶ。代替素材の検討と共に、作業効率向上の検討も進められ、装置操作の容易化、迅速なジョブ交換、レシピの登録管理、ロボットによる自動化、洗浄工程の自動化、AI利用などの検討がされている。
メスパック(mespack)は、スペインに本社を持ち、世界有数のブランドに製品を提供する消費財メーカー向けに、包装機械や最終工程設備などを製造する国際的なメーカーである。どのような有力ユーザーに装置を納めているかを公開していた。
安定したハイスピードの製袋装置(HKEシリーズ)は、アムコアやモンデイといったグローバル大手包装企業に納入していると言っている。そのほかリサイクルレデイタイプの大型スパウト付きパウチ用の装置は、コンスタンテイアフレキシブル社やMenshenに、また、ステック包装袋装置は、ダウやフタマキ等に納入しているとのことである。
6.分析、及びやや特殊な包装形態の企業
セソテック(SESOTEC)は、ドイツの大手分析機器メーカーである。異物検出、材料分析、選別技術における先駆的なソリューションを提供し、世界中のパートナー企業と共に、プラスチック、食品、リサイクル業界における品質、安全性、効率性の基準を確立していると言っている。3つの未来産業におけるノウハウとして、食品の安全性を高め、プラスチックをよりクリーンにし、リサイクルをより効果的にするお手伝いするとの事である。
例えば、食肉やソーセージ製造における異物検出は、食肉加工会社にとって、極めて重要な課題である。機械の損傷、消費者の健康被害、そして高額な製品回収につながる可能性があり、これらのリスクを最小に抑えるための適切なシステムと必要な専門知識を提供する。高度な技術を駆使した包括的な金属探知機、X線システムを提供、汚染物質を確実に検出・除去するとしている。私がセソテックのブースに興味をもったのは、鶏一羽単位でのX線分析の大型写真の投射からであった。
また、同社は、プラスチックのリサイクルの分野にも展開しており、リサイクル工程に使用するプラスチックフレークの純度向上のための装置を提案しており、機能を装置の写真と共にしめす。
A:金属探知センサー:最小金属コンタミ検知
B:近赤外カメラ:あらゆる材料
C:色・形状センサー
D:ブローアウトシステム:適切に選別
E:排出システム
この装置により、リサイクル工程のプラスチックフレークの純度を大幅に上げる事ができるとのことである。
FPF(Flexible Packaging Solutions)は、化学、食品、医薬品、農業等の分野向けに、フレキシブル・コンテナバッグ(FIBC)、コンテナライナー、その他のフレキシブル包装材を提供している。16か国に4,000名以上の従業員、13の生産工場、19の販売拠点を擁し、広範かつ統合されたグローバルな製造・流通ネットワークをもっている。
同社は、FIBC製品の削減、再利用、リサイクル分野の市場リーダーとして、2022年にルーマニアにリサイクル拠点を設ける大型投資を実施した。これは、使用済みFIBCを回収・再処理し、再利用可能なPCR樹脂へと再生するための専用のハブである。例えば、プラスチック1トンのリサイクルには、約6万リットルの水が必要である。そのため、この拠点では、独自の水処理・リサイクルシステムを導入し、水の再利用を可能としている。
注目されているPPWRでは、PCR 30%使用を目標のひとつにしているが、フレコンの場合、かなりの重量物になるので、強度試験は重要である。その性能と性能テスト方法を以下に簡単に示す。
SWL:安全荷重、SF:安全率
表5 PCR材料使用フレコンの安全テスト結果
| 試験の名称 | 認証 | 要件 | PCR30%使用開発品 の結果 |
|
|---|---|---|---|---|
| 上部吊り下げ強度試験 | Cyclic Top Lift Test | ISO21898 | 安全荷重の5倍以上 | 合格 |
| 上部吊り下げ強度試験 | Cyclic Top Lift Test | ISO21898 | SWLの6倍以上 | 合格 |
| 紫外線劣化加速試験 | UV Resisistnace | ISO21898 | 破断強度と伸びが少なくとも初期の50%を保持 | 合格 |
| (条件:UVB-313 lampにて200時間) | ASTM G154 | |||
非危険物用フレキシブル中間バルクコンテナの包装に関するISO 21898規格に準拠して、コンテナバッグのトップリフトテストを実施している。トップリフトテストは、まず繰り返し荷重テストを行い、その後、各バッグの最大荷重をテストする。
(方法)まず、FIBCにプラスチックペレットとゴム素材を充填し、満杯のバルクバッグを模擬する。バッグを機械に載せると、プラテンがバッグ内に降ろされ、繰り返し試験が開始される。プラテンは最初に安全作業荷重に設定され、試験ではバッグに押し込むことで安全作業荷重の2倍の荷重をかけ、その後安全作業荷重に戻す。この加圧・解放サイクルは、安全率5:1の使い捨てFIBCでは30回、安全率6:1の再利用可能なバッグでは安全作業荷重の4倍の荷重で70回繰り返される。
繰り返し試験の後、機械はバッグが破損するまで圧力を徐々に上げていく。機械は破損時の最終重量を記録する。使い捨てバッグがトップリフト試験に合格するには、最終重量が安全使用荷重の5倍以上でなければならない。
このようなテストをおこない、PCR 30%使用といったPPWRの目標規格にパスしているとの事である。
そのような中、多数の見物客を集めているブースがあった。それは、ポリクリップ・システム(Poly-clip System)で、クリップ・クロージャーソリューションの世界最大のプロバイダーであり、この包装の世界的リーダーだといっている。
誰もがソーセージの両端、つまり「テール」を知っている。元々、食肉加工業界と精肉業向けに開発されたこのクリップクロージャーシステムは、食品および非食品分野で長年にわたり使用されている包装方式である。このソリューションは、他のタイプのソーセージ包装と比較してCO2換算排出量が少ないため、環境に非常に優しい。包装形式による廃棄物の嵩を比べている興味深い展示があったが、クリップクロージャーの優位性はかなり大きい。他の形態では5~10ケという嵩で、50ケも収納されている。
現在のユーザーは、ソーセージやハムの製造業者だけでなく、ペットフード、コンビニエンス製品、シーラントや接着剤の製造業者でもある。環境面への優位性から、欧州での関心度は高いようである。
7.まとめ
ポイントに合わせてまとめると、
①DX、自動化、ロボット、AI関連
利用、事例が多く、かつ多彩であった。装置については、各項で触れたので、ロボットの様子をしめす。AI搭載、次世代ロボットも実際に目にでき楽しかった。ポーランドのUNILOGOのAI内蔵のロボットは、外観はおもちゃのようだが、ゆっくり動きながら、案内してくれていた。
米国のロボット開発分野のトップ企業のひとつボストンダイナミックス(Boston Dynamics)の4足歩行ロボットは、人類最大のパートナーである犬型ロボット。頭の部分がカメラで、懐いてくる等かわいいが、敏捷に動き、能力は抜群の次世代ロボットとのこと。TV等の報道では知っていたが、実物は初めてでその動きは感動ものであった。
(追記:7月下旬韓国の現代がボストンダイナミックスを買収するというニュースが入ってきた)
②PPWR対応
会場内の至る所で呼びかけている。法令上は、詳細がこれからという部分もあるが、業界はそれを待っているわけにはいかないので、各所で対策アイテムを示してくれている。
・原材料メーカーから:ポリオレフィン系のモノマテ包装(ALL-PE、ALL-PP)およびリサイクル材を含む包装の事例紹介されていた。しかし、昨秋のK2025の方がブースが大きく、展示も多彩であった
・プラ使用量削減、代替素材の提案として、紙系包装・容器の提案が多い
・バイオプラスチック
(バイオベース+リサイクル)で効果倍増を強調
⇒ここでも、リサイクル(生分解性含む)必須へ
・コンバーター、フィルムメーカーの提案も、モノマテ包装、紙製包装の事例紹介が多い。トルコ、中東、インド系企業の元気さを感じる
・包装機械メーカーは、省資源化、効率性向上の工夫の紹介が多彩であった。(項目①同様)
次回の3年後のインターパック2029では果たしてどこまで進化するのか、AIを含み自動化も、PPWR等の法律対応も非常に楽しみである。


















































