包装用途からみたK2025の視察報告(2)

松田 修成
マツダ包装技術W&R

この「包装用途からみたK2025の視察報告」の第2報では、プラスチック加工装置、自動化・デジタル技術について報告する。

1.表面処理加工(プラズマ加工、ロボット技術)

1-1 PlasmaTreat

プラスチック等の表面処理装置であり、かつ、ロボットでのデモンストレーションで目立っていたドイツのPlasmateat 社の展示を紹介する。

写真1

Plasmatreatは「大気圧プラズマ表面処理分野の世界的なリーダー」であり、Openair-PlasmaおよびPlasmaPlusナノコーティング技術で知られている。プラスチック、金属、ガラスなどの表面を「洗浄・活性化・コーティング」するための装置・ノズル・発振器等の専業メーカーである。K2025では、幅広のノズルとロボットを使ったデモが見学者の関心を引いていた。
この処理のプラスチックへの効果としては、濡れ性・表面エネルギー向上によるインキ密着、接着・ラミネーション性の向上にあり、包装材・自動車・電機・医療など幅広い用途をカバーしている。

写真2

自動車業界では、軽量化でプラスチック化が進んでいるが、材料的には、PC+ABSのようなエンプラからポリプロピレン (PP) といった汎用樹脂の活用が広がりつつあるものの非極性であるため、PURが密着しにくいことが課題である。同社は、PP部品の射出成形後で、かつPURインモールドコーティング前の工程で、Openair-Plasma®を適用する方法を紹介しており、新開発の幅広プラズマノズルにより、フードなどの射出成形部品全体を短時間で前処理できると見せていた。表面粗さによる物理的な結合に加え、活性化された PP表面は PURコートシステムと化学的に結合し、強固な接着特性が得られる。デモンストレーションも車の部材をロボットが器用に動いて処理を施していた。

写真3

他の用途への応用例として、写真のように多岐に渡るが、話を聞くと、日本市場向けでは現状では自動車用の加工の方に注力しているように感じられた。

写真4

2.フィルム加工(インフレ、キャストフィルム加工装置)

Hall-17は、K展の花形ホールのひとつである。その理由は、インフレフィルムの装置メーカーが、天井の高いホール内に製膜実機を持ち込んで稼働させ、展示会の見物客に直接見せるからである。装置の高さ、稼働中の機械音、樹脂溶融の匂いと、場合によっては煤煙が見物客に直接アピールしてくる。稼働している装置は十数台にも上るのでまさに壮観である。

2-1 SML

SML社(SML Maschinengesellschaft)は、オーストリアの押出加工機、 CAST製膜装置、コーティング・ラミネーション等の機械メーカである。

毎回大掛かりな装置の展示をおこなっており、特に3m幅のチルロールをもつキャスト製膜装置は迫力がある。ストレッチラップフィルム用のCAST製膜装置、バリア性 CAST-MDO-PEフィルムのCAST製膜、それを用いたパウチの事例等のサンプルが多数展示されていた。

写真5

サンプル展示のひとつとして、一軸に少し延伸したCAST-MDO-PE フィルムのロール状サンプルを展示していた。17μm厚の7層タイプのもので、写真6は裏印刷されたロールの例である。

写真6

2-2 Macchi

イタリアのマッキ社(Macchi)は、バリアフィルムおよび非バリアフィルムの製造に対応する7層共押出ラインを展示していた。

写真7

外層と中間層用に65/30押出機を4台、接着層とEVOH層用に55/30押出機を3台搭載したこのラインは、最大フィルム幅2,300mmで最大600kg/hの生産能力を備えているとのことである。ライン監視システムのアップグレード版があり、生産データ管理のためのIoTシステムと、ラインの運用上の問題を解決し、ダウンタイムを最小限に抑えるように設計された最新のAIアシスタントが追加されている。本ラインの特徴の一つは生産性である。バリアを与えるEVOH層の厚みはわずか4%という最小の厚みを保証し、得られるフィルムは「モノマテ」として分類され、リサイクル可能となる。また、生分解性、水溶性、リサイクル性など、環境負荷の低いフィルムを製造できるシステムや、PCR含有量(最大100%)が高い樹脂を処理できるラインも開発している。

もう一つの特徴は自動化であり、新しいMacchi Easy Control Plusシステムなどのプラットフォームを中心に展開されているとのことである。

2-3 Windmoeller & Hoelscher

Windmoeller & Hoelscherは、ドイツを代表するフィルム加工装置のメーカーであり、インフレ製膜機、CAST製膜機、印刷機、製袋機等を扱っている。

インフレ製膜装置の処理の流れは以下の2つの工程に分けられる。
① リング状のダイスから円筒状に樹脂を共押出し、空気圧で膨らませつつ、横延伸、縦延伸しながら、引揚げていく
② 次にMDOユニットで、更に縦方向に、しっかりと延伸して、フィルムを巻き取っていく

写真8は、稼働させているインフレ製膜機の押出機・ダイス付近を拡大したものである。

写真8

フィルムへの機能性を付与するために、押出機を複数台設置し、機能性をもつ多層フィルムを作る。例えば、バリア性の付与や向上でありシール性等である。また、MDOユニット(縦方向への延伸)によって、フィルムに剛性を与え、モノマテ用表基材に使用できる物性を与え、インラインの厚み制御も可能となる。

3.ブロー加工(電動押出ブロー加工)

3-1 Plastiblow Srl

PlastiBlow社は、イタリアの「電動押出ブロー成形機に特化した中堅グローバルプレイヤー」で、汎用〜準ハイエンドの容器用途で評価されている企業である。押出ブロー専業で、フル電動機を主力とし最大30Lクラスの中小型中空容器をカバーし、低エネルギー消費、動作精度・再現性の高さ、メンテナンス性の良さを特徴としている。

写真9

Plastiblowは装置の展示と共に、50%のリサイクル材(PCR材)入りのボトルを多数展示し、目を引いていた。この装置は最大6層の共押出ボトルを製造でき、代表的な層構成は、内側HDPE/接着剤/バリア/接着剤/再生材/外側HDPEである。バリア材はほとんどの場合EVOHで、製品に応じて厚さを変化させる。肝心のPCR材入りのサンプルであるが、しっかりとしており、異物等の違和感はも見られなかった。

写真10

4.成形加工(カップ、トレイ加工装置)とデジタルツイン

ブルックナーグループ(Bruckner)は、ドイツを代表するプラスチック加工装置メーカーのひとつで、キーフェル(Kiefel)、パックシス(PackSys Global )と1つの企業グループを組んでいる。パックシスは、チューブ、クロージャの装置メーカーで、Kiefelは、カップ、トレイ等の成型装置のメーカーである。

写真11

Kiefelの紙、パルプ、ファイバー製でのフォーマーのNature Former は、有名で、トレイ、蓋材などのサンプルが展示されていた。

写真12

写真13

そのような中、同じブース内で、実演時の大きな音と大量にできる製品に驚く装置があった。ポリマーカップ、およびコーヒーカプセルの大量生産向け新型傾斜式成形機 の “SPEEDFORMER KTR 6.2 SPEED” である。

写真14

この装置は、生産性と製造の汎用性を高めつつ、最適化された加熱により10%の省エネルギーを実現しており、他メーカーの装置と比較して、
・最大 50% の生産性向上 と品質を実現
・より大きな成形エリア(840x585mm)
・パンチングフォース  900Kニュートン
・金型冷却プロセスによるより速い成形時間によって実現
・更に、成形空気システムの最適化により、充填時間が大幅に短縮
といい、適合する材料としても、PP, PET, PS,C-PET, R-PET, bio-Plastics と幅広く対応しているとのことである。これらの特徴を活かして、カップ等のサンプル製品を大量に生み出していた。

写真15

実は、この装置を取り上げたのは、実演の印象だけでなく、最新のデジタル技術の実演にも関係していたからである。

写真16 シーメンスのブースでデジタルツインの表示の様子

このSpeedFormerの稼働状況をシーメンスが「デジタル・ツイン」技術で表示、コントロール可能としていた。両社のブースは同じHall3とはいえ、端と端に位置し、ゆっくり歩くと数分は掛かりそうな場所にある。その離れた場所において製造現場の様子、稼働状況が正確に把握でき、管理可能な精度でグラフィック化されているのに驚かされた。製造業におけるデジタルツインも、もう実用段階に入っているようである。

5.プラスチックリサイクル関連

5-1 EREMA

プラスチックリサイクル関連企業でのトップグループのひとつであるエレマグループ(Erema)の様子を示す。

写真17 EREMAブースのようす

エレマは100か国以上で約8,500台のリサイクル機・コンポーネントが稼働していると言われ、関係するリサイクル材料は約2,500万トン規模という、メカニカルリサイクル装置市場の中核プレーヤーのひとつである。同グループの売上高は、約3.3億ユーロ(150円換算:500億円) 従業員約950名である。

主要事業とブランドは、下記のとおりである。
・ポストコンシューマーPO(フィルム・硬質):INTAREMA、TVEplus、DuaFil 、Compact、ReFresher(脱臭)など。
・PETボトルtoボトル:VACUREMA、PET Laserfilterなど、飲料・食品ボトル向けの食品接触グレードPCR対応装置。
・生産端材・廃棄物:生産端材・スクラップ向け小型~中型ライン
・コンポーネント事業、中古機売買・エンジニアリング
主なグループ企業を表としてまとめた

表1

表2 インハウス(工程内)・スクラップ関係企業

表3 エンジニアリング・中古機関係企業

表に収めた企業以外に、パートナー(関連会社)という位置づけにあるのが、リンドナー・ウォッシュテック(Lindner Washtech)である。破砕後のプラスチックフレークの洗浄・分離・乾燥工程を担う装置を提供し、エレマ本体のリサイクル工程装置の前工程を受け持つ形になる。

K2025会場の特別棟に設けられたリサイクル関連の中心ブースである “ E(A)DANCED RECYCLING CENTRE“ 内でも、よく見ると、EREMAと共に、LINDNER のロゴのついた装置がたくさん見られ、更にその展示装置の横には、エレマとLINDNERが戦略パートナーであることを示す写真も見られた。

写真18

写真19

リサイクル材料を使用した製品例として、多彩なサンプルが大きく、展示されていたので、その例を写真でしめす。

写真20 リサイクル材料を使用した製品例(1)

写真21 リサイクル材料を使用した製品例(2)
PETボトルのボトルtoボトル

6.まとめ

この報告の2報では、材料以外のプラスチック加工や自動化・デジタル技術について意識して報告した。フィルム、容器、リサイクル関連と多彩になったが、プラスチック材料、技術のポテンシャルの高さを示しているのではないかと思っている。