K2025 出展者事前情報 材料メーカー

K2025に出展する材料メーカーのリリース情報をもとにAIの力も借りながらまとめたものです。

K2025 材料メーカー 出展情報 脱炭素 循環型社会 バイオマス原料 マスバランス リサイクル技術

主要な材料メーカー各社が「脱炭素」「循環型社会」「持続可能な原料利用」をキーワードに展示を展開する見通しです。BASF、Covestro、Envalior、Braskem、Borealisといったグローバルプレイヤーはいずれも、リサイクル技術・バイオマス原料・マスバランス認証を三本柱とし、環境対応と高機能化を両立させる方向に明確に舵を切っています。

BASF

ホール5 C21、D21

リサイクル(メカニカル/ケミカル)

BASFはリサイクルを多角的に展開します。メカニカルリサイクルでは、再生材を配合したUltramid® RCやElastollan® RCを紹介し、日用品から工業製品まで幅広い応用を提案。さらにケミカルリサイクルでは、ポリアミドの脱重合・再重合技術や、自動車解体残渣からの溶剤分離による高純度再生プロセスを実演。また、PUフォームの化学リサイクルについてはKraussMaffeiやRampfらとの共同開発成果を披露し、難リサイクル材の再資源化にも取り組みます。

バイオマス原料の活用

化石資源の削減に向け、BASFはBiomass Balance(BMB)法によるバイオマス由来製品を前面に押し出します。具体的には、ポリアミドのUltramid® BMB、PBTのUltradur® BMB、生分解性樹脂のecoflex® BMBやecovio® BMBを展示。これらは既存用途と同等の性能を維持しながら、原料由来のCO₂排出を削減するのが特長です。欧州拠点での再生可能電力利用と併せ、原料から電力まで再生可能資源を組み合わせた低炭素ソリューションを提示します。

マスバランス法・認証(ISCC / ISCC PLUS)

BASFはマスバランス法を軸に、再生可能資源の投入量を透明に示すISCC PLUS認証製品を拡充します。特に顧客に対しては、PACIFICアプリを通じた製品カーボンフットプリント(PCF)の共有を強調。材料調達段階から排出量を可視化することで、バリューチェーン全体のCO₂管理を容易にします。また、再エネや低炭素原料を組み合わせたrPCFポートフォリオも導入し、従来素材と同等性能でありながら持続可能性を担保する「認証付き低炭素材料」の提供を推進します。

生分解性材料

生分解性分野では、BASFの代表的製品であるecovio®とecoflex®を中心に展示します。これらは産業用堆肥化条件で分解可能で、食品包装や生ごみ袋、農業用フィルムなどで既に実績があります。さらにBMB版を組み合わせることで、生分解性とバイオマス利用を同時に実現する提案を打ち出します。こうしたポリマーは、リサイクルが難しい分野で環境負荷を下げる手段として期待され、循環経済における重要な補完技術として位置づけられています。

新素材(高機能・次世代用途)

BASFは持続可能性と同時に高機能新素材を打ち出します。K2025では、水透過性と強度を両立した新ポリアミド「Ultramid® H」を初披露し、人工ケーシングなど食品用途への応用を提案。さらに耐熱・耐薬品性を持つポリスルホン「Ultrason® S」をアルカリ水電解装置の部材として紹介し、水素社会に向けた新市場開拓を示します。加えて、再生材を含むTPU「Elastollan® RC」など、環境対応と高性能を兼ね備えた素材で多様な用途を狙います。

その他の提案・全体メッセージ

BASFは「#OurPlasticsJourney」をテーマに、プラスチックのライフサイクルを「Make–Use–Recycle」で再定義します。ブースでは「From waste to value」や「PU循環」といった対話セッションを通じて、EPR(拡張生産者責任)制度など社会的な仕組みも含めた議論を展開。単に素材を提供するだけでなく、制度設計や顧客との協業を通じ、循環型のバリューチェーンを構築する姿勢を明確にします。技術・制度・パートナー連携を統合する包括的アプローチが特徴です。

Covestro

ホール6 A75

リサイクル(メカニカル/ケミカル)

Covestro は「リサイクル・素材ループを閉じる(closing the material loop)」を重点テーマとし、熱可塑性プラスチック(特に自動車向け部材)における PCR(Post-Consumer Recycled)素材や再資源化技術を展示します。たとえば、Makrolon® RP といったリサイクル対応ポリカーボネート製品が紹介されており、最大で 72 % の再利用材(recycled attributed share)を持つ製品が訴求対象になっています。
また、リサイクル“ツールキット”として、メカニカルリサイクル技術だけでなく、ケミカルリサイクル(スマート熱分解、酵素分解、ケモリシスなど)の研究・概念も展示テーマに掲げ、異なる材質・用途への適用を目指すアプローチを示しています。

バイオマス原料の活用

「代替原料(Alternative Raw Materials)」を戦略軸と位置付け、化石燃料由来資源を置き換える技術・素材を “The Material Effect” 展示の柱に含めています。
具体例として、バイオ系アニリン(bio-based aniline)の研究プロジェクトが紹介されており、従来のポリマー原料プロセスにバイオ原料を導入する道を模索しています。
また、Covestro は代替原料投入と並行して、マスバランス方式等でその原料シェアを示す仕組みを併用し、バイオ原料を使った製品を環境配慮型選択肢として位置づける戦略を採っています。

マスバランス法・認証(ISCC / ISCC PLUS)

マスバランス方式を用いた製品構成と、それを支える認証/トレーサビリティ機構を明示しており、素材由来と環境指標を顧客と共有する設計を強調しています。
具体には、Makrolon® RP において「72 % recycled attributed share(再利用材属性率)」という表記を用いており、マスバランス/属性方式を活用してリサイクル含有を示す一例です。
また、展示テーマとして “digital product passports”(デジタル製品証明書)や環境フットプリント計算を自動化する仕組みを取り入れており、素材選択段階の透明性を実現する方向性を示しています。

生分解性材料

生分解性ポリマーをメインの訴求対象とする明示的な記述は目立ちません。ただし、代替原料やリサイクル性との組み合わせを重視する中で、将来的には生分解性設計を統合する可能性が示唆されています。
加えて、Covestro はモノマテリアル(単一素材)設計や、分離・解離が容易な接合構造(例:PU 接着ラミネート層の分離技術)などを開発中とし、多材質構成材を将来的にリサイクルまたは分解対応可能にする設計手法を展示テーマに含んでいます。
そのため、特定用途で生分解性・堆肥化可能性を目指す材料が展示される可能性はありますが、主要訴求とはしていないようです。

新素材・高機能素材

Covestro は “The Material Effect” 展示を通じて、環境性能だけでなく機能性能を両立させる新素材を複数打ち出す方針です。
具体例として、Makrolon® RP(再生属性付きポリカーボネート)があります。これは高純度ポリカーボネートでありつつ、属性的に再利用材要素を持たせた製品で、透明性や剛性を保ちつつ環境価値を訴求する素材です。
その他、スマート材料設計、構造化ポリマー、モノマテリアル接合や高機能コーティング連携素材などを含む “素材+プロセス連携” 型の提案を展示コンセプトとしており、用途展開(自動車、電気/電子、建築、医療など)を想定した素材ソリューションを示す可能性が高いです。

その他の提案・展示メッセージ

単なる材料供給者ではなく、“Materials → Solutions(素材からソリューションへ)” という価値転換を強調しています。
展示では、素材科学・プロセス技術・応用開発を統合するアプローチとして “The Material Effect” というブランドを掲げ、各種産業の持続可能性課題に応える変革効果(マテリアルがもたらす変化)を提示します。また、デジタル化・AI を素材設計にも取り込み、CAE モデリング、材料ツイン、環境影響シミュレーション、製品設計支援ツールを通じて、設計・材料選択の革新を図る展示要素が含まれるとされています。
さらに、環境インパクト低減を訴求するケーススタディ(再生ポリカーボネート、循環型自動車プラスチック、モノマテリアル設計、PU 接合解除構造など)や “design for recycling” 指針(循環性を念頭に設計するガイドブック的資料)も出展内容の柱になると見られます。

Envalior

ホール6 B11

Envalior の概要・背景

Envalior は、DSM エンジニアリングマテリアル部門と LANXESS の高性能材料部門との統合によって設立された比較的新しい企業で、グローバルに高性能エンジニアリング材料を提供することを目指しています。
樹脂ブランド(Akulon®, Durethan®, Pocan®, Stanyl®, Tepex®, Arnitel®, Xytron™, ForTii®, EcoPaXX® など)をそろえ、モビリティ、電気/電子、消費財分野を主要市場と位置付けています

リサイクル(メカニカル/ケミカル)

リサイクル素材に関する明示的な展示技術の記述は確認できません。ただし、高性能材料を用いた「持続可能性」訴求を掲げており、リサイクル素材や再生材含有グレードが展示に含まれる可能性が高いと予想されます。

バイオマス原料の活用

植物油由来素材「Arnitel® Eco(アーニテルエコ)」が紹介されています。これは最大 50 % の植物油由来原料を含む熱可塑性エラストマーで、従来材料比で最大 40 % の CO₂ 削減が可能とされています。

マスバランス法・認証(ISCC 等)

“Envalior CARES” 戦略の中で、持続可能な資源の利用と透明性を重視するとしており、将来的な原料代替・代替原料の割当方式や認証制度を含めた仕組みを強化する意向を表明しています。ただし、ISCC 認証製品やマスバランス具体運用の記述は公表資料には見当たりません。

新素材・高機能素材

以下の素材が展示予定とされています。
・Akulon®、Durethan®(PA6/PA66)
・Pocan®(PBT)
・Stanyl®(PA46)
・Tepex®(熱可塑性複合材料)
・Xytron™(PPS)
・Arnitel®(TPC)
・ForTii®(PA4T, PPA)
・EcoPaXX®(PA410 植物由来ポリアミド)また、Pocan® の難燃性グレード(ハロゲンフリー難燃性)、および Pocan® E(高トラッキング耐性強化版)など、電気/電子用途向け高機能グレードも打ち出されています。
さらに、Stanyl® の用途として、電動工具用ステーター絶縁材(薄肉化)用途、摩耗用途材、PFAS フリーグレードも含むとされています。

Braskem

ホール6 D27

リサイクル(メカニカル/ケミカル)

Braskem は「Wenew(ウェニュー)」という名称で、リサイクル素材含有ポートフォリオ を展開することを強調。55以上のグレードを有し、これまでに 85,000 トン以上を販売した実績を示しています。
また、「carbono circular(環炭素)」という概念を掲げ、廃プラスチックや使用済資源を再循環させて素材価値を取り戻すエコシステムを展示コンセプトに位置づけています。
展示ブースでは、再生材ポートフォリオを紹介するだけでなく、循環設計(デザイン for リサイクル) に関する実践的ガイドも提示する方針。たとえば、ラベル、キャップ、バルブ、顔料・接着剤といった付属部材がリサイクルに与える影響を整理する指針を出すことが予告されています。

バイオマス原料の活用

Braskem は、サトウキビ由来エタノールを原料とする「I’m green™ bio-based」ポートフォリオを主要訴求点としています。ポリエチレン、EVA、PE ワックスがこのブランド名で多数の用途に使われています。
特に、設立 15 周年を迎えた I’m green ブランドを記念して、EVA や PE ワックスのライフサイクル評価(LCA)を新たに発表し、負の炭素排出特性を訴求する計算結果を示す予定です。
また、再生可能原料を使った EVA・PE の用途拡張を示唆しており、靴底や包装、化粧品など異業種用途での展開を強調しています。

マスバランス法・認証(ISCC 等)

Braskem は、再生材や生物原料を従来原料と併用しながら、マスバランス方式 を使ってその起源を保証する製品を展示する方針を示しています。特に I’m green や Wenew 製品群に関して、ISCC 認証が活用される可能性が明記されています。
ブース展示では製品が ISCC 認証を取得している旨を明示し、資源起源の透明性と信頼性を顧客に提示する設計になる見込みです。
また、Carbon Accounting(炭素会計)の新ルールにも言及しており、原料調達から製品フェーズまでの炭素バランスを可視化・遵守する枠組みを訴求する構えです。

Borealis

ホール6 A43

循環性・イノベーション強調

Borealis は K2025 に “Driving Circularity and Innovation in Plastics” をテーマに出展を予告しています。
同時に Borouge(中東系パートナー)との共同展示を行い、ポリエチレン・ポリプロピレンを軸に、持続可能・循環型素材技術をアピールする構成としています。

再利用可能カップの導入

展示会会場で使用する 再利用可能なカップ(Reusable Cups) が、Borealis 主導で企画されています。
これらのカップは、OMV のケミカルリサイクル技術(ReOil®)を使った原料を用い、改質ポリプロピレンベースで設計。
また、軽量化・発泡化技術 (foam injection, EcoCore® 技術) によって、従来ソリッドカップの半分程度の材料量で製造され、断熱性・強度も向上との説明があります。
使用済みカップは展示場内に設置された回収拠点で集められ、洗浄・再使用ループに入る方式です。
最終的には、Borcycle™ M(高性能機械的リサイクル技術)を使って、廃棄カップから再び原料に戻すプロセスが想定されています。

新素材:Borstar Nextension PE

Borealis は K2025 来場者に向けて、Borstar Nextension PE(ポリエチレン技術) の開発材を展示予定としています。
この新技術は従来の Borstar 技術を拡張し、耐衝撃性(toughness)・密封特性 (sealing)・加工性 (processability) の改善を目指す素材群。
特に、モノマテリアル構成を促す設計 (複合材を排さない構造) によって、廃棄後のリサイクル性を向上させる方向性を打ち出しています。

社会・サステナビリティ施策

Borealis は K2025 の場で使用される再利用カップの導入に加え、リサイクル/循環設計思想をイベント運営自体に取り込んでいます(“Born to be Reused” スローガン)
Borealis は Scope 1/Scope 2 排出量の大幅削減を目指しており、2019年を起点に 5.1 Mt から 2030年には 2 Mt 未満にする目標を掲げています。
また、ベルギー・ベリングレンでの 複合材料製造ライン(compounding line) を稼働開始し、高品質再生材含有ポリオレフィン製品の供給能力を強化中。
Borealis はまた、K2025 会場全体で 35,000 個以上の再利用カップを用意し、飲料提供におけるプラスチック廃棄を抑える取り組みにも関与。

Evonik

ホール6 C40

リサイクル(メカニカル/ケミカル)

プラスチック廃材や汚染樹脂を高品質再生材に変えるための 添加剤ソリューション を展示します。具体的には、TEGO® CYCLE WA 111 および TEGO® RES 1100 を用いて湿法ステージでインク・ラベル・残留物を除去し、高品質再生材生成を支援する技術を訴求。TEGO® Antifoam KS 53 を使って発泡抑制・安定化も可能としており、再生工程の信頼性・プロセス安定性を高める意図があります。

バイオマス原料の活用

K2025 展示案内で “eCO” 製品群を紹介予定とし、従来品より CO₂ 排出を最大 70 % 低減しながら、既存の製造プロセスと互換性を保持するバージョンを提案しています。

マスバランス法・認証(ISCC 等)

PA12 ポリマー(VESTAMID®, INFINAM®)をマスバランス認証プロセスで生産し、CO₂ 排出削減を達成したグレードを展示する計画です。これにより、素材レベルでの温室効果ガス削減を訴求。

新素材・高機能素材

展示の主役は、ポリアミド 12(PA12) 系列(VESTAMID®, INFINAM®)および PEEK(VESTAKEEP®) です。これらは耐熱性、機械特性を保ったまま環境性能を高めた素材として位置づけられています。さらに、EV 車向けのバスバー、バッテリー冷却ライン、医療用途、スポーツ用途(ミッドソール材、メルトブローン不織布材)などへの応用も示される予定です。

その他/戦略・メッセージ

・ “Global Circular Plastics Program” を掲げ、循環性を重視した素材ソリューション展開を強調。
・また、次世代用途向け機能材(難燃添加剤、資源効率シリカ、シラン系ソリューションなど)も補完的に展示予定。