秋元英郎
秋元技術士事務所
オートモーティブワールド2018は、第8回クルマの軽量化技術展、第4回自動車部品&加工EXPO、第9回EV・HEV駆動システム技術展、第6回コネクテッド・カーEXPO、第1回自動運転EXPO、第10回国際カーエレクトロニクス技術展から構成される自動車に関する展示会である。
本レポートでは、プラスチック材料・プラスチック加工に関係が深いクルマの軽量化技術展を中心に報告する。分量が多いため、2回に分けての掲載となる。
複屈折率ゼロの透明樹脂シートであるハイパーライトJMの展示では、PCのディスプレイに貼りつけてアクリル樹脂との比較を見せていた(図1)。
自動車の内・外装用材料としては、高耐熱高外観材であるハイパーライトJP(PC/PET樹脂)成形品(図2)、発泡成形用のPC系アロイの成形品(図3)が展示されていた。
熱硬化性樹脂の改質剤としては、コアシェル型ポリマーアロイであるカネエースMXが展示されていた。
透明PA(トロガミド)はサングラスのレンズ等に使われている。今回は、偏光テスターの展示(図4)が関心を集めていた。
アクリル樹脂の展示では、ピアノブラック銘柄と光拡散性アクリル樹脂のサンプルが展示されていた。光拡散性アクリル樹脂は、微粒子が練りこまれており、ヘッドランプレンズの周囲への導光部品(図5)が展示されていた。
長繊維複合材料として熱可塑性コンポジットが展示されていた。
Vestamelt Hylinkによる金属/樹脂の接合としては、PAベースの粉体型ホットメルトを金属表面に付着させてインサート成形で接合した部品が展示されていた(図6)。
軽量化のソリューションのひとつとして、ポリメタクリルイミド発泡体(ロハセル)をコア材としたCF複合材料との積層品が展示されていた。
高耐熱PA樹脂Xecotは結晶化度が非常に高いPA樹脂であり、金属代替の製品が展示されていた(図7)。
発泡用PA(フォーミロン)の展示では、PA用に最適化された化学発泡剤についても紹介されていた。発泡性物質は特に新しくはないが、配合処方を工夫してPAの成形温度に合わせた分解特性にしているとのこと。図8に展示パネルの発泡剤に関する部分を示す。
原着メタリックPA(ナノコンメタリック)の展示では、シボ付きの成形品を中心に展示されていた(図9)。
セルロース繊維複合材料であるセルロミックスとしてPPに15%セルロースを添加した材料で成形されたコンテナが展示されていた(図10左)。また、成形品に塗装したサンプルも展示され、塗装前の成形品表面が平滑であることも併せてPRしていた(図10右)。現時点で年間50トン程度の供給が可能である。
再生炭素繊維と熱可塑性樹脂の複合シートも展示されていた。
異素材接着・加飾技術として、PBT/ポリエステル系エラストマー、PA/オレフィン系エラストマー、オレフィン系エラストマー/PPの積層品やペルプレンの透明グレード、グラマイドの原着メタリックを展示していた(図11)。
高耐熱性柔軟エラストマーとして、ペルプレンC-typeを展示していた。アクリルゴム並みの耐熱性・耐油性を持っている(図12)。
発泡用材料として、PAとエラストマーを展示していた。エラストマーの5倍発泡(コアバック)は中心部まできれいな気泡ができていた。PAの発泡品は表面にシボが加工されており、比較的きれいにシボが転写していた(図13)。
高耐熱エポキシ樹脂(開発品)として、標準型(Tg=256℃)、低温硬化型(Tg=247℃)を展示していた(図14)。汎用のエポキシ樹脂よりも約50℃耐熱性に優れることからフィラーと併用して高耐熱性・低線膨張率の封止材用途を中心に開発を進めている。
参考出展として熱可塑性エラストマー(ジェラティック)の樹脂改質用途向けに新規銘柄を展示していた。同じ材料でPP、PA12の改質が可能であり、-40℃の低温衝撃強度も改良されるとのことである。
ナノインプリント技術を用いた透明導電フィルム(開発品)を展示していた。フィルム基材にインプリント樹脂を積層し、凹部に導電ペーストを埋め込み導電性を発現させるというメカニズムである。
プレプリグ用熱硬化性樹脂CBZを展示していた。炭素繊維強化樹脂のよるボルトはネジの溝の部分で繊維を切らない方法で成形されていた(図16)。
モスハイジはガラス繊維に比べて軽量化が可能になる向きフィラーであるが、今回はPPに添加した際の外観もガラス繊維よりも優れることを示すサンプルが展示されていた。
新製品としてポリアミドエラストマーであるUBESTA XPAの3Dプリンター用フィラメントを展示していた。
軟質のシクロオレフィンポリマーの用途開発として、合わせガラスの中間膜用途が展示されていた。従来の中間膜に比べ、非極性樹脂がベースであるため吸水性や加水分解性が低い点に特徴がある。Tg=125℃であり、130℃で貼り合せを行っている。
一方、光学レンズ用に高耐熱シクロオレフィンが展示されていた。
レーザー焼結タイプの3Dプリンターによる造形品を展示していた。PAパウダーとカーボンパウダーを粉/粉ブレンドして造形することで強度が高い造形品が得られる。カーボンは自社でフェノール樹脂を炭化させて生産されている。用途例として冶具、簡易金型が展示されていた。
後編に続く
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