秋元英郎
秋元技術士事務所
オートモーティブワールド2018は、第8回クルマの軽量化技術展、第4回自動車部品&加工EXPO、第9回EV・HEV駆動システム技術展、第6回コネクテッド・カーEXPO、第1回自動運転EXPO、第10回国際カーエレクトロニクス技術展から構成される自動車に関する展示会である。
前編では材料メーカーの出展内容を中心に報告した。後編では、樹脂加工品、設備・周辺機器、炭素繊維複合材料等について報告する。
長繊維強化熱可塑性樹脂シートTEPEXを使用したサンプルとして、自動車部品(図22)、スポーツシューズ等(図23)が展示されていた。
発泡関連ではオレフィン系発泡樹脂板/成形品(図24)、ポリアミド系樹脂発泡シート(図25)、ポリスチレン系高耐熱ビーズ発泡製品(図26)が展示されていた。
微粒子関連では、低屈折・低比重微粒子、遮熱・断熱微粒子が展示されていた。
円錐型の凹凸を持った樹脂シート(シングルコーン、ツインコーン)を中心に据えて展示していた(図27)。軽量で剛性が高い樹脂の板であり、真空成形による賦形も可能である(図28)。
実際に採用された部品のみならず、Y-HeaTを用いたシボ転写性のサンプルやジェッティング改良のサンプルも展示されており、ヒート&クールの効果をわかりやすく説明していた。
株式会社浅野との共同ブースで、電磁誘導加熱によるヒート&クール成形のサンプルとして、高光沢二色成形品(図31)、シボ転写性を活かした成形品、1/2サイズのボンネット試作品、ノートPCのパネル等が展示されていた。
CFRTPを用いたハイブリッド成形(竪型のプレスによる賦形と横型の射出の組合せ)のサンプルを展示していた(図35)。
プレス成形と射出成形のハイブリッド成形のサンプルを多く展示していた。バックモールディングはプレスによって賦形したシートやファブリックの背面から樹脂を射出して接合する成形である(図36)。複合化するシートとしてはCFRTP以外にカーペットを用いた試作品も展示されていた。
また、大型のバッテリーケースをイメージした試作品も展示されていた(図37)。
高光沢RTMのサンプルが展示されていた。これはK2013でクラウスマッファイが実演していた成形品のカットサンプルである。繊維マットの中に含浸する樹脂の他に表面を覆う樹脂を供給することで表面に樹脂層を設けている。
ガラス長繊維のインラインブレンド(射出成形機のバレルにロービングから繊維を供給する方法)はKショーでは見ることが無くなったが、今回はサンプルが展示されていた。
展示サンプルの他に、自動車のアンダーボディカバーではMuCellと組み合わせて厚み2㎜で1.6m x 0.3mの製品が量産化されている。
FDM(樹脂のフィラメント溶融積層)タイプの3Dプリンターを用いた金属の造形装置と製品サンプル(図40)を展示していた。金属粉末とバインダー樹脂からなるフィラメントを積層造形し、樹脂分を除去してから焼き固める方法である。
圧空・真空成形を利用して成形品の表面にテクスチャーを付着させる技術(OMR)技術が展示されていた。シボパターンを持ったシートとUV硬化性樹脂が積層されており、積層されたシートを真空成形機を用いて成形品に押し付け、シボパターンシートを剥がしてから紫外線を照射する方法である。サンプルが多数展示されていた(図41)。
炭素繊維の熱可塑性樹脂ランダムシートを展示していた。Tgが100~125℃の熱可塑性エポキシ樹脂が使われており、プレス成形時の金型温度は200℃くらいにする。
連続炭素繊維にPAを含浸したフィラメントによる3Dプリンターを展示していた(図44)。
TAM成形(同社独自のヒート&クール成形)を用いて、CFRTPシートを20枚重ねてプレスし、射出成形と複合化した成形サンプルを展示していた(図45)。
自動車部品に特化した展示会であるが、幅広い技術が網羅されている。樹脂材料メーカーの展示も各社独自色を出しており、必ず実際に見に行くべき展示会である。
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