書評 『初級設計者のための 実例から学ぶプラスチック製品開発入門』 大塚正彦著(日刊工業新聞社)

製品設計コンサルタント
田口技術士事務所  田口宏之

プラスチック関連の書籍はたくさん存在するが、そのほとんどが材料、成形、金型、二次加工のいずれかをテーマにしたものだ。プラスチック製品の設計・開発業務について詳しく解説された書籍は、実は片手で数えるぐらいしかない。本書はプラスチック製品の設計・開発業務の全体像を解説した貴重な一冊である。

本書は経験の浅い設計者に向けて、実際の商品である「密閉式冷却装置」を事例に、企画から製品設計、試作・評価、生産に至る開発業務全体の流れを解説している。写真や図を多用するなど、新人設計者でも理解しやいように配慮されている。

著者である大塚氏は、プラスチック製品の開発、金型設計、成形技術など広くプラスチック関連業務に携わってきた技術者である。プラスチック関連の技術は非常に幅が広く、専門は細分化されている。著者のように上流工程から下流工程まで幅広い経験を持つ技術者は多くない。

そのような経験をベースに書かれた本書は、新人設計者にとって設計・開発業務の全体像を学ぶ良書になるだろう。また、設計者が自社以外の設計・開発業務を知る機会は非常に少ないのが実情だ。ベテラン設計者にとっても、自身の仕事の進め方を振り返るよい機会になるのではないだろうか。