フォルシア・ジャパン株式会社
広報
本記事は、フォルシア本社インテリア事業部Pierre DEMORTAINが自身のLinkedInに2018年3月12日付けで掲載したものを日本語へ翻訳した。元記事へのリンク(英語): https://bit.ly/2GX6IC7
麻繊維をベースとした独自の軽量バイオマテリアルNAFILean™が複数のOEMにおいて順調に採用例を増やす中、フォルシアはその革新的新技術が農産業に与えるプラスの影響はもちろん、エネルギー・環境的観点から見た大きな恩恵を示すデータを新たに公表した。
プジョーPSA社での登録を皮切りに、フォルシアのバイオマテリアルを自動車部品の原材料として採用したOEMは現在6社に上る。バイトン社のe-SUVは直近での採用例のひとつ。新素材の価値が次世代の車両開発においても高く評価されていることを裏付けるケースとなった。
パリで開催された2018年国際農業見本市(Salon International de l’Agriculture – 2018)において、フォルシアはNAFILean™技術の進展がその主要原材料である麻の農業生産において新たな需要創出へと繋がっていることを話題として取り上げた。
自動車を構成する部品の重量が環境へと与える影響を念頭に、軽量化部品に適した“究極の素材”を探し求めたフォルシアがNAFILean™技術の開発に着手したのは10年前にさかのぼる。自動車部品に要求される厳しい性能仕様に加え、その理想の新素材は従来の部品製造工程へのプラグアンドプレイな適応性を満たすことが求められた。
候補に挙がった20種以上の繊維作物の中から、再生可能性や消費水量の低さなど、その優れた工業的特性を評価され選ばれたのが麻であった。作物としての麻には他にも、土壌を作地として肥やす効果や、害虫駆除剤を必要としないこと、外的要因による価格変動が小さいという利点がある。
完成したのは自然繊維を20%含む軽量でリサイクル可能な麻混合材。インパネやドアパネル、センターコンソールなどの射出成形部品で用いられるガラス繊維を置き換える形で自然繊維が導入された。
素材の開発に2年、プジョーPSA社での登録獲得に更に1年という期間を費やした後、初の商品化はプジョー308のドアパネルによって2013年に実現される。1.2 kgの新素材は25%の軽量化および25%の環境インパクト削減を達成した。数値はISO 14040-44*規格 “Life Cycle Assessment” に準じて評価されたもので、素材の生産過程から使用、使用後の処理までを考慮したもの。
自動車にバイオマテリアルを導入しようという従来からの試みとNAFILean™が異にする点はフォルシアがもたらす付加価値だ。原材料生産へのティア1サプライヤの参画は、(内装システム、インパネ、ドアパネル、コンソールのように)車両を構成する下位レベルにおいてこの新技術が導入されることの妥当性を証明している。
初の商品化実現を皮切りにして、NAFILean™は他OEMからも相次ぐ採用を受け、自動車業界の新たなスタンダードとなりつつある:
車体の軽量化効果算出に通例用いられる計算式によると、大規模量産車両における軽量バイオマテリアルの導入は4万トンのCO2排出量削減、走行距離3.25億km相当の燃料節約といった大きな環境的恩恵をもたらす見込みだ。**
中国新興企業Future Mobility Corporation、バイトン(Byton)ブランドの量産e-SUVにおける新たなNAFILean™の採用事例は次世代車両と新技術の相性の良さを際立たせた。1 kg の車体軽量化が4.8 kmのバッテリー航続距離向上に貢献する。
麻混合材はフォルシアとフランス東部ブルゴーニュ地方の農業協同組合との間に設立されたジョイントベンチャー、Automotive Performance Materialsによってオープンに市場に供給される。
この出資比50対50のジョイントベンチャーはフォルシアに信頼性の高い原材料供給と自由な市場開拓を担保し、ひいては新素材の持つ力を最大限に引き出すことを可能とする。
フォルシアが前述の国際農業見本市でさらに強調したのは、自動車産業向けバイオマテリアルでは使用されない麻の部位も建築用断熱材や食用油のような共同開発製品に活用されるという点。土地利用や作物多様性への懸念も麻の栽培では無用。欧州のOEM全てに供給したと想定しても、わずか5,000ヘクタールの土地で供給量を賄うことが可能な計算だ。
麻繊維の生産とNAFILean™市場は今後の規模拡大が見込まれる。各OEMにおいて新車両での使用に向けたバイオマテリアルの評価が進行中で、生産量も今後3年間で3倍とする計画だ。フォルシアは新世代のNAFILean™開発と同時に、混合材におけるバイオマテリアルの含有率向上へと注力している。
これらの原材料にはバイオ由来樹脂や自然繊維補強材も含まれ、100%石油フリーの射出成形原料が将来的な工業化に向けた開発をすでに完了している。
*ISO 14040-44は環境性能に対する評価規格
**算出は以下の仮定に基づく:
• 6年間の車両総生産量、走行距離15,000 km/年 および燃料消費4.9 L/100 kmという欧州統計調査に沿った10年間の車両使用
• 車体重量 -10 kg = CO2排出量 -1 g/km
• 車体重量 -250 kg = 燃料消費 -1 L/100 km
This website uses cookies.