秋元英郎
秋元技術士事務所
Chinaplas2018は4月24~27日にかけて、上海虹橋の国際展示場(国家会展中心)で開催された。入場者数は18万人を超え、前年のChinaplas 2017(広州)に比べて16%の増加となった。中国国外からの来場者も5万人に迫る規模の国際展示会になっている。
表1 2016~2018の来場者数(主催者発表)
Chinaplas2018 | Chinaplas2017 | Chinaplas2016 | |
全来場者数 | 180,701 | 155,258 | 148,575 |
中国以外 | 47,900 | 40,048 | 39,454 |
Chinaplasの特徴は、中国での市場開拓を期待して全世界から集まっていることにあり、技術的には最先端ではないものも多く展示されている。また、欧米の大手企業も多く出展している。
本報告では、なるべく広い分野における技術の動向を伝える。なお、社名の漢字は日本字に置き換えている。
飲料カップのインモールドラベル成形の実演は多く見られた。一例として海天のブースでは8個取りでカップの成形を行っていた。
DAKUMARのブースでは20Lくらいのペール缶の成形が実演されていた(写真1、動画2)。
海天のブースでは、スタックモールドで2種類の部品を4個ずつの交互成形を実演していた(写真2、動画3)。射出の条件は交互に切り替え、金型が交互に開く。
Yizumiのブースでは、厚手のアルミシートをインサートして、MuCellにより複合化する成形を実演していた。製品はエンジンカバーをイメージした試作品である(写真3)。
CHEN HSONGのブースではMuCellによる椅子の成形を実演していた(写真4、動画4)。通常成形で重量4㎏、サイクルタイム300秒が、MuCellでは3.2㎏,200秒になっている。成形機の構造はタイバーロック方式の省スペース機であり、三菱重工と技術提携している。
BORCHEブースでは二色成形機から取出した複数の部品をロボットで折り畳み式の踏み台を組み立てていた(動画5)。
日本では考えられないが、中国では成形機の部品が売られている。星辰科技は射出ユニットの駆動装置を展示していた(動画6)。
帝州自動化のブースには射出成形機用コントローラーが展示されていた(写真5)。台湾,中国本土,インドがコントローラーの大きな市場である。
上海申新塑料機械のブースでは、気泡緩衝材の成形実演を行っていた(動画7)。
また国泰気泡膜のブースではアルミ蒸着フィルムの上に気泡の緩衝層を成形して多層化していた(写真6)。
現代精工のブースでは押出成形によるプラ段の成形及び切り出しを実演していた(動画8)。
小型の押出機で造粒する際に、ストランドを引いてカッターで切る方法が一般的であるが、小型の水中カッターがあれば便利である。今回PURUI(普瑞)とNanjing Jieyaが水中カッターの実演を行っていた。動画9はPURUI(普瑞)、動画10はNanjing Jieyaの実演の様子である。
MGLのブースには押出発泡用の押出機と発泡製品のサンプルが展示されていた(写真7)。
上海汎塑機械設備のブースでは、二酸化炭素とアルコールを発泡剤として用いるXPS(押出発泡ポリスチレン)の技術紹介とサンプルの展示があった(写真8,9)。
Qingdao Weier Plastic Machinaryのブースでは、押出成形機の展示と、PVCやPETの押出による屋根瓦を展示していた(写真10)。
JIAHAO EXTRUSIONのブースでは厚物の木粉プラスチック発泡体とPVCのシートをラミネートした床材を展示していた(写真11)。
杭州康発塑良機械のブースでは、PPシートの押出成形と、成形されたシートの真空成形・打ち抜きを実演していた(動画11)
TONGJIAのブースではブロー成形によるドラム缶の成形を実演していた(写真12)。IKNOWのブースには、マーブル調のブロー成形品が展示されていた。この技術は回転成形用材料の技術転用である。XINHENGDAのブースには超大型のブロー成形品が展示されていた(写真13)。中国ではインフラ整備上、このような大型製品の需要が大きいのであろう。
日本では展示会で回転成形の装置を目にする機会は殆ど無いが、Delsonのブースでは回転成形によるサンプル展示(写真14)の他に回転成形装置に金型の代わりに成形品を取り付けて回転させていた(動画12)。回転成形はブロー成形に比べて設備投資が小さいので、インフラ整備用の大型製品の製造には向いている。
中国では履物の需要が大きい。HWGONGKONGのブースでは、靴底の接着の前処理として、ロボットを用いたコロナ処理が実演されていた(動画12)。
TOWINのブースにはカッププリンターが展示されていた(写真15)。プラスチックカップのサイドに9色で印刷できる。
6-1 環境対応材料
HEXPOLは植物由来成分が20~90%を占めるエラストマー「Dryflex Green」をパネル展示していた。
IKPのブースでは木粉入りPP,PE(Advacomp 写真17上)及び木粉入りPP成形品(flaxwood)のサンプル(写真17下)が展示されていた。
HEESRIのブースではPLAとPBATのブレンドによる柔軟な生分解性プラスチックの成形品が展示されていた(写真18)。
CHUANGBOのブースではガラス長繊維強化PPのペレット化ラインを実演運転していた(動画13)。
JUNERのブースにはビーズ発泡PPのサンプルが多く展示されていた(写真19)。近年発泡スチロール(EPS)が環境問題で嫌われており、砕けにくいEPPは価格が高くても受け入れられるようになってきている。
展示のホール数が非常に多く、プラスチック産業をほぼ網羅している展示会という意味で視察する価値がある。もちろんKショウのような最先端の技術は少ないものの、環境対応材料の分野の展示は多く、人口が多い国の課題とプラスチックの関係について考える機会を与えてくれる。
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