K『デュッセルCLUB』報告 「K 2019 最新情報と業界動向」

秋元英郎
プラスチックス・ジャパン株式会社

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K「デュッセルCLUB」

K2019をおよそ半年後に控え、K 2019 実行委員会会長ライフェンホイザー氏、そしてメッセ・デュッセルドルフ代表取締役社長ドーンシャイト氏が来日して、報道関係者を対象にしたK2019最新情報と業界の動向に関するプレゼンテーションが4月19日に行われた。

本レポートは主催者である株式会社メッセ・デュッセルドルフ・ジャパンの了解のもと、プレゼンテーションスクリプトの翻訳を転載する。

K 2019 デュッセルドルフ イノベーションと国際ビジネスの推進力

プラスチック・ゴム産業の3,000 超もの企業が建設的かつ責任ある未来に向けた製品や製法、効果的なソリューションを展示

W. M. ドーンシャイト氏(メッセ・デュッセルドルフ 代表取締役社長)

デュッセルドルフで開催されるK は、68 年にわたり、国際的なプラスチック・ゴム産業の最も重要な出会いの場であり、今後もそうあり続けます。出展者と来場者が、ダイナミックで革新的な産業の最先端技術や製品を展示、あるいは直に体験するため、3 年ごとに世界中からデュッセルドルフに集結、新たな可能性を求めるイノベーター向けの、類まれな情報とネットワーキングの場であるK が提供する機会を、活用しています。

開催日は10月16~23日

そうした多様で幅広い開発成果、ソリューション、国際的なトレンドを、来場者が経験、そして比較し、専門家と実務的な情報交換をできるのは、デュッセルドルフだけです。K だけが、世界初の製品・技術を数多く取り上げており、K は重要性の点で、そのほかの国際的なイベントと一線を画す、まさにプラスチック・ゴム業界を代表するメッセであると言えます。

K 2019 – 世界を牽引する産業展

10 月16 日から23 日まで、ドイツ・デュッセルドルフの見本市会場に、世界中のプラスチック・ゴム産業を迎えるK 2019 の展示スペースは、ものの数か月で完売に至りました。60 か国超から3,000 社を上回る出展者が参加します。

これまで同様、最大の出展者グループは欧州で、とりわけドイツ、イタリア、オーストリア、スイス、フランス、トルコからが多いのですが、米国からも目覚ましい数の参加が見込まれています。同時にK は、グローバル市場の変化を示す、明確な指標でもあります。

近年、アジア企業の参加数と出展面積は堅調に増加し、今年は特に、日本、中国、台湾、インド、そして韓国が、その存在感を来場者に印象づけることでしょう。世界中の企業を幅広く紹介するKは、業界の関心事であるエネルギーや資源、原料の効率性といった主要な問題だけでなく、ニッチな部分にも、スポットライトを当てます。

デュッセルドルフ見本市会場全18 ホール・総展示面積約174,000 ㎡の規模を誇るK 2019 に、最新の製品・技術・サービスが勢ぞろいします。各ホールは、次のように、テーマ、あるいは展示製品・サービスごとに分けられています。

• 機械、機器 1、3〜4、9〜17号館
• 原材料、補助材料 5~7、 7a、 8a + 8b号館
• 半製品、工業部品、強化プラスチック製品 5~7、 7a、 8a + 8b号館

K 2019は、プラスチック・ゴム産業の全生産チェーンを示します。ゴム産業は、プラスチック業界の他部門に比べ、小規模ながら重要な役割を果たしており、ゆえに、革新的な開発成果を大いに重視しているユーザー産業も、多くいらっしゃいます。6号館の『Rubberstreet』は、Kに不可欠な要素で、来場者に高く評価されると同時に、大切にされています。

Kは、業界全体の基準であり、イノベーションが一堂に会する世界的なビジネスの場です。また本展では、プラスチック・ゴム業界の専門家が出会い、産業の最先端が実演され、自動車産業や包装、電気・電子、情報通信、建設、医療、宇宙産業から来場する関係者に、プラスチック・ゴム材料の先見性がある新しい用途・応用について、情報を提供します。

K 2019は、世界の関連業界からの注目を集めることだけで、その特別な地位を維持できるわけではありません。プラスチック・ゴム産業が直面する現代の問題にも取り組んでいきます。

人類は、気候変動からデジタル化まで、地球規模の重大な課題に直面しており、人間の専門知識と知性で、それらに取り組む必要があります。次世代のために、地球を保全する責任が私たち全員にあるため、持続可能で先駆的なソリューションで、この問題に着手する必要があります。

2019年10月、デュッセルドルフ見本市会場に集結する、世界中からのプラスチック・ゴム産業は、その責任を全面的に受容し、最大限の努力により今後の課題解決に寄与していきます。

重要な製品:ポリマー材料

低公害や省エネ、効率的手法・技術に対してはもとより、環境に一層の負荷を与える、あるいは余分な時間や資源を消費することなく、当該用途に簡単に適用できる、インテリジェントで高性能な材料に対する需要も高まっています。

この点で、ポリマー材料は有益、かつトレンドを生み出す貢献を果たしており、今でもほぼすべての用途で目覚ましい成果をもたらしています。

例えば、腐りやすい食品を新鮮なまま保つ場合やエコ発電の支援、または道路交通からの排気削減などの用途が挙げられます。プラスチックとゴムは、多くの最新用途で不可欠な材料となっています。

課題への取り組み

ポリマーの利用により、適切な廃棄や再利用の問題は、さらに大きな課題となってきていますが、プラスチックとゴム自体は価値ある材料で、持続可能な方法で生産されるべきであり、理想的には再利用で、新たな高品質製品が生み出されるべきです。つまりは、材料設計段階で製品に含まれる高品質成分の高リサイクル率と、最大回収率を徹底することが要求されます。

K 2019で展示される興味深いソリューションの中には、特にこれらの問題に取り組んでいるものがあります。再生プラスチックは、代替材料としてますます利用されつつあり、新しいプラスチック製品の重要なスタート材料となっています。K 2019では、最新の可能性の概略と、業界の各種機関との協力に関する考察をお見せします。

特別展『Plastics shape the Future』

『Plastics shape the Future』と題する特別展は、ポリマー材料が現代の生活環境の様相をどう方向づけてきたか、新しい開発ですでに実用化されたものや、先見性のあるアイデアで将来成功する可能性があるものを示すことを、目的としています。

専門家による討論、基調講演、興味深い実演、刺激的な実験は、会期中毎日異なるテーマで行われます。また経済、環境保護の側面も、問題領域や潜在的ソリューションと同じように注目されています。

この特別展は、欧州プラスチック製品工業協会とメッセ・デュッセルドルフが主導する、独プラスチック産業のプロジェクトで、出展者や来場者と同様にメディアや関心をもつ一般に向けて、新しい知見や展望を提供する、Kの公式併催プログラムをさらにより良いものにします。

『Science Campus』

『Science Campus』では、研究と産業間の対話を促進します。また、企業と大学が情報交換できるフォーラムでは、Kの出展者と来場者に、科学的活動の総合的な概略と、プラスチック・ゴムに関連する調査結果も提供します。

特別展と『Science Campus』が取り扱うテーマは、密接に連携しています。両フォーラムにおいて、世界のポリマー産業を今後席巻すると予想される事象に、焦点が当てられます。K 2019『Innovation Circle』の科学者と専門家は、以下の問題を中心にすえています。

1. 持続可能な発展と循環型経済のためのプラスチック

水管理、再生可能エネルギー

2. 付加価値連鎖のデジタル化・インダストリー4.0

プラットフォーム・エコノミー、付加価値ネットワーク

3. システムインテグレーション – 素材、加工・設計を通じた機能性

新素材、積層造形・付加製造、軽量化技術、 モビリティ(eモビリティ)、バイオポリマー

4. K 2019における若手プロフェッショナルのプロモーション

科学と実践訓練の両方において、業界に若者を呼び込む活動に対し、特別な焦点を
当てています。参加する大学や機関、協会などが、厳選された討論やスピーチ、展示品の実演を通じ、主要テーマを提示します。

若手人材を獲得するための戦略的な宣伝活動は、プラスチック産業にとって不可欠です。職業選択時、若者は、プラスチック・ゴム産業が、高度の技能を要し、将来性とやりがいに満ちあふれた職を、数多く提供しているという事実に、しばしば気づいていないものです。

ドイツにあるプラスチック教育構想(KAI)は、プラスチック産業の職業上の選択肢の多さと将来性を、若者世代に訴えることを目指しています。展示や討論、あるいは実験などの活動は、この業界に若手を惹きつけるために、用意されています。

この『KAI』は、メッセ・デュッセルドルフだけにとどまらず、プラスチック加工産業連盟(GKV)をはじめとした業界団体が参画しています。

Bioplastics Business Breakfasts

今年のKでは、バイオプラスチックの可能性とビジネス機会に関心を寄せる来場者と出展者にとって、数多くのブースで包括的な情報が得られるように、構成されています。さらに、専門誌『bioplastics Magazine』は、メッセ・デュッセルドルフと協力し、特定のテーマを掘り下げる『Bioplastics Business Breakfasts』を主催します。

2019年10月16日から18日まで、毎朝開催される本イベントでは、生分解性ポリマーだけでなく、バイオベースポリマーも含むバイオポリマーの未来の役割と市場の可能性に、焦点を当てます。さらには、バイオポリマーの長短所両面が取り上げられます。

『Rubberstreet』と『Rubber & TPE Pocket Guide』

ゴム関連では、K 2019においても『Rubberstreet』が人気を集めることでしょう。ゴムおよびエラストマーの世界を知る窓口となる、6号館に設けられるこのエリアは、ゴム産業の認知度を高め、革新的性能を浮き彫りにするため、K 1983から開催されています。

さらに『Rubber & TPE Pocket Guide』も提供します。このガイドは、本展でTPEを含むゴムおよびエラストマーをあつかう適切なパートナーを特定する上で役立ち、原材料や機械から加工に至るまでのバリューチェーン全体を網羅しています。

来場者からの素晴らしい評価

出展者数の多さと出展製品の品質の高さは、Kの重要性と、業界を世界的に牽引する産業展としての役割を証明するものですが、このことは来場者数の多さや来場者からの評価の高さにも反映されています。2016年10月には161か国から232,053人の来場者がデュッセルドルフを訪れました。

このうち71%がドイツ国外からで、そのトップ10か国は順に、イタリア、オランダ、インド、トルコ、フランス、ベルギー、米国、中国、スペイン、ポーランドでした。参加した関係者の評価は明快で、97%が豊富な技術開発や先駆的ソリューションに非常に感銘を受けています。革新的製品の多さや業界をリードするトップ企業の存在に対しても、優れた評価が与えられました。

さらに、これらの評価はプラスチック・ゴム製品メーカーだけからなされたものではありません。Kは、新しいアイデアの重要な源であるとともに、新製品を持ち帰れることから、プラスチック・ゴムユーザー産業においても広く認知され、評価されています。

K 2019 – スマートオンラインサービスを全チャネルで展開

メッセ・デュッセルドルフにとって、サービスは究極の目標で、会期中に限らず、開催のずいぶん前から、あらゆるチャネルでサービスを展開しています。Kには、iOS や Android OS向けアプリでも利用できるポータルサイトk-online.comがあり、業界全体の興味深いニュースをはじめ、Kにまつわるあらゆる情報にアクセスできる、すぐに利用可能で便利な手段です。

2019年3月には、出展者が自身の情報や展示品などを、データベースに登録し始めます。当然ながらTwitterやFacebook、LinkedInなどのSNSも、K 2019はフル活用しています。

k-online.comでは、『MyOrganizer』をはじめとした個別サービスを提供、来場者の関心、視察準備を支援しています。加えて、オンラインのホテル予約やデュッセルドルフですべきことを含む旅行情報も、ご入手いただけます。

極めて便利なのは、オンラインで前売入場券が購入でき、そして電子チケットをご自宅で簡単にダウンロード、または印刷できるという点です。メッセ会場の入場券販売カウンターに順番待ちで並ぶ必要はなく、さらに良い点としては、会場販売に比べお安いことです。1日券は、会場販売では75ユーロですが、オンラインでは49ユーロ、また3日券はオンラインで108ユーロですが、会場販売は155ユーロです。オンライン前売入場券は、メッセ会場までの公共交通機関をご利用になれる切符の役割も兼ねるため、さらなるメリットを享受いただけます。

最適化されたマッチングツール

最適化されたマッチングツールは、K 2019での貴社の成功を後押しします。来場者や出展者は、来たるKに先立ち、求めるコンタクト先や製品を発見するにあたり、このツール(k-online.comで入手可能)をご利用になれます。このツールは、貴社に適切なコンタクト先を直接提案し、アポイントが取れるようにします。

www.k-online.com/MatchmakingD またはiOSおよび Android OSの『K Matchmaking App』で、この機能にアクセスしてください。チケットをお持ちの方は、ご自身のアカウントにログインし、ご関心のある製品・企業を検索すると、このツールに簡単にアクセスできます。この高速マッチングにより、助言や個別の要求に合わせて提案されたコンタクト先が、直ちに提供されます。

デュッセルドルフ:いつも魅力的な街

来場者は、デュッセルドルフに到着後、交通、宿泊施設からエンターテイメントに至るまで、信頼性の高いインフラや、完璧に準備され、作り上げられたメッセ会場に気づくことでしょう。デュッセルドルフ空港から見本市会場までのシャトルサービスは、毎時運行しており、また、タクシーを利用すれば、ほんの数分で到着することができます。

デュッセルドルフは、グローバルビジネスとメディアの中心地であるだけでなく、メッセでの1日を終えた後も、魅力的なエンターテイメントの選択肢を提供する街でもあります。有名な『旧市街(Altstadt)』には、あらゆる嗜好に合うレストランやパブ、さらには洗練された小売店やショッピングモールに出会え、また、ミュージカルステージ、オペラ、20を超す美術館・博物館などもございます。

K 2019 – 業界の未来を考える

K 2019は、業界全体から、すでに大きな期待が寄せられています。今回は、どんな技術開発が展示されるのでしょうか。一つ確かなことは、革新的な製品を潤沢に持つプラスチック・ゴム産業が、未来に向けて完璧に準備を整えていることが明確に示される、ということです。

展示される、多数の先駆的な製品やソリューションと、参加する研究所の多さのおかげで、本メッセは、先見性や刺激にあふれ、最新の開発が一堂に会する場となります。ビジネスと研究が協力して、プラスチック・ゴム産業の未来を方向づける、今後の展望や筋書きに対する知見を、来場する専門家に提供します。

特に、最新の議論をきっかけに、そして潜在性のある資源管理、さらに効率的なプラスチックの加工、広範囲にわたる回収・分別・再生利用に関する地球規模の課題に直面し、情報やコミュニケーション、ならびに業界の未来のための国際的なビジネスの場であるK 2019は、価値ある貢献を果たしていきます。

 

市場経済、 テクノロジーとトレンド

U. ライフェンホイザー(K 2019 実行委員会会長)

 

K 2019 – 市場と経済

1952 年から、デュッセルドルフで開催されてきたK は、世界のプラスチック・ゴム業界を代表する国際的な産業展として、その地位を確立してきました。K ほど、ポリマー材料の世界的な成功を、目で見て触れられる形で取り上げ、そして業界の今がよく分かるメッセは、他にありません。第21 回を迎えてもなお際立っているのは、世界のプラスチック業界がまさに体験している、継続的な成長です。

3 年に一度開催されるK は、技術的発展の最先端、産業プロセス向けの効率に優れたソリューション、高度で多様なプラスチック・ゴム材料の応用例を紹介します。ポリマー材料の範囲と種類、プラスチック機械・加工・金型技術、プラスチック・ゴムの多種多様な応用例に関し、深く掘り下げられ、かつ包括的な概要を得られるのは、デュッセルドルフのK だけです。

K 2019 は、これまでの70 年間と同じく、プラスチックおよびプラスチック加工業界の全容をつかみ、動向を把握して、今起きつつある技術革新を体験したいと願うすべての人にとって、決定的なメッセとなるでしょう。

持続するプラスチック・ゴム業界の世界的な成長軌道

加工材料として、プラスチックとゴムの消費量が増え続けていることから、プラスチック・ゴム業界の世界的な成功が、明らかに見てとれます。プラスチックとゴムは、1950年から2017年の間に、平均で年率8.5%の成長を果たしてきました。現在の成長率は、1950年代から70年代の期間に見せたような目覚ましいものではないものの、2000年代に入ってからも、いまだに4%~5%の年間成長率を保っています。

しかし、地域、製品、用途によって、成長率の変動は決して小さくはありません。世界的成長を推進する主な要因は引き続き、世界の人口増と、全体としての生活水準の向上にあります。

プラスチック応用市場の大部分は、とりわけ食品や消費財の包装分野で、堅調な成長を継続していますが、プラスチック製保存容器と輸送容器の市場も拡張基調にあります。

また、その存在が大きくなってきているインフラ・土木においては、水・電気・ガスの供給、断熱材、窓枠など、多種多様な形でプラスチックの使用を必要とします。

もう一つの強力な成長分野は、自動車と、関連する駆動コンセプト、道路・鉄道による貨物輸送から、果ては航空まで広がるモビリティ分野です。

プラスチックは、医療用途の中心的存在として、この分野には欠かせない材料となっています。医薬品の安全な投与、医療機器技術、診断、研究室は、機能性に優れた実用的で衛生的な使い捨て製品として、プラスチックを頼りにしています。

同様に、広く人気のある現代のスポーツとレジャー関連製品は、プラスチックでのみ生産可能です。

生活の多くの領域における電化をはじめとした数々の技術的動向と、再生可能エネルギーの開発は、プラスチック材料なくして実現することは不可能でしょう。

こうした用途のすべて、および関連市場で使用されるポリマーとゴム材料は、世界中で受け入れられ、そして流通が拡大しています。

中国 – 世界のプラスチック業界をリードするアジアを牽引

プラスチック製造企業の業界団体である欧州プラスチック製品工業協会(PlasticsEurope)の推計によれば、2017年における世界のプラスチック生産量は3.48億トンに達しました。プラスチック材料、すなわちプラスチック製品に加工される材料は、このうちのおよそ2.9億トンを占め、残りの0.55億トンはコーティング剤、接着剤、分散剤、ニス、塗料などに使用されました。国際ゴム研究会(IRSG)が実施した分析によると、2017年に生産・消費されたゴムはおよそ2,850万トンでした。このうち、天然ゴムは1,350万トンを占め、約1,500万トンが合成ゴム由来でした。

ここ10年間に起きた、あらゆる物価上昇と経済危機、そして2008年~2009年の金融・経済危機が与えたのは、黎明期よりプラスチック業界が体験してきた長期にわたる良好な発展において、ほんのわずかで短期間の変動に過ぎませんでした。というのも、ポリマー材料は、2010年以降年間4~5%の生産増を実現し、成長の上昇基調を取り戻しているからです。

プラスチック生産量情報に関するオンライン・データベースを提供するPlyglobeによれば、量的、および経済面から見て、最も重要なプラスチック分野である熱可塑性樹脂は、2019年3月初旬に、その世界の生産量レベルがおよそ3.51億トンに達しました。汎用プラスチックは、このうちの91%以上を占め、高機能熱可塑性樹脂はおよそ8%、高性能ポリマーとバイオ由来・生分解性プラスチックの両方が、残りのシェアの大半を占めます。

世界のプラスチック業界で、最も規模が大きく、そして成長も速いのは、アジア太平洋地域です。その原動力は、中国、そして東南アジア諸国の経済的な台頭です。現在、世界のプラスチック生産の50%が、アジアに依存しています。2017年に世界で使用されたプラスチック加工機械のほぼ40%が、アジア諸国の製品です。中国は、プラスチック業界のあらゆる分野において、世界で最も重要な国となっています。利用可能な最新のデータによれば、世界のプラスチック生産の29.4%(2017年)、世界のプラスチック機械生産の31%(2016年)、そして世界のプラスチック加工における最大の単独シェアはすべて、中国です。

アジア太平洋地域と中東における、重合による生産量の驚異的な拡大は、統計上の比率に永続的な変化をもたらしました。中国の生産量が29.4%、日本が3.9%、その他のアジア諸国が16.8%を占めることから、アジア全体の総生産量は50.1%もの割合に上っています。

一方これに対して、欧州と北米の貢献度は徐々に低下しており、世界の生産量における現在の割合はそれぞれ、18.5%および17.7%となっています。PlasticsEuropeの統計によれば、中近東とアフリカ合計で7.1%、南米は4%、旧CIS(独立国家共同体)諸国は2.6%を占めています。この数値は、わずか20年という期間で、アジアが世界のプラスチック生産量におけるシェアを30%から50%へ拡大し、北米のシェアは10%、欧州のシェアは15%近く縮小したことを意味します。また、中近東も目覚ましいシェア拡大を果たしました。2018年に天然ゴムのシェアは91%、合成ゴムでは54%を占めていることから、アジアはゴム生産分野でも明らかに市場をリードしています。

ドイツ語圏諸国は技術面をリード、中国はプラスチック機械市場での主導的地位を確保

2018年、世界のプラスチック・ゴム機械の生産額は、380億ユーロに達すると見込まれています。なお、2017年は363億ユーロ、2016年は約350億ユーロでした。2017年、生産の42%は欧州のプラスチック機械メーカーによって行われ(2016年は41%)ました。

それを生産額に換算すると、153億ユーロに相当します(2016年は143億ユーロ)。オーストリア、フランス、ドイツ、英国、イタリア、ルクセンブルク、スペイン、スイス、トルコの機械メーカーの統括団体である欧州プラスチック・ゴム産業機械委員会(EUROMAP)によれば、欧州諸国は、2017年において、世界貿易における主導的役割を強化することに成功し、市場シェアは48%から52%に上昇しました。2018年については、数々の不確定要素があったにも関わらず、欧州の生産量は2%~3%上昇すると、EUROMAPは予測しています。

2017年、中国は115億ユーロ(31.8%)相当を生産し、依然として、プラスチック機械工業の生産額において、単独の国家としては最大の規模を誇っています。第2位は、80億ユーロ(22.1%)のドイツで、そして30億ユーロ(8.4%)のイタリア、27億ユーロ(7.4%)の米国、18億ユーロ(4.9%)の日本が続きます。世界の輸出額の24.5%を占めるドイツの機械工業分野は、中国(16.4%)、日本(10.4%)、イタリア(9.6%)、米国(5.7%)よりも多い、世界貿易の最大シェアを有します。

リサイクルを先導する欧州のプラスチック業界

PlasticsEuropeがまとめた、ユーロスタット(Eurostat)の2017年の数値によれば、EU28か国のプラスチック業界は、主に中小企業およそ60,000社の従業員150万人で構成されており、生産高は約3,500億ユーロで、EUの貿易黒字に170億ユーロ貢献しています。この数値によると、プラスチック原料のEU域外の輸出先は、重要な順に、トルコ、米国、中国、ロシア、スイスで、プラスチック製品では順番が変わるものの、米国、スイス、中国、ロシア、トルコが主な輸出先となります。また、EU域外の特に重要な輸入元は、原料については米国、韓国、サウジアラビア、スイス、日本、プラスチック加工品については中国、米国、スイス、トルコ、韓国です。

PlasticsEuropeの数値によると、包装業界は2017年、ポリマーの39.7%を消費しました。これは欧州で最大のシェアとなります。建設業界が第2位で19.8%、自動車業界が第3位で10.1%、その後に電気・電子(6.2%)、消費財、家庭・スポーツ用品(4.1%)、農業(3.4%)が続きます。家具分野、工業、医療、家電メーカーなど、その他の消費財のシェアは合計で、16.7%になります。

欧州最大のプラスチック消費国は、依然としてドイツ(24.6%)で、それに続くのはイタリア(14%)、フランス(9.6%)、スペイン(7.7%)、英国(7.3%)、ポーランド(6.5%)などです。英国のプラスチック加工業は、EU離脱準備の影響を受け、強い成長を見せているスペインよりも、下位となりました。

米国のみにとどまらない、プラスチック生産へのシェールガスの影響

現在、欧州は域内のポリオレフィン需要を満たすために、輸入に依存していますが、米国はコスト効果の高いエネルギー源として業界に変化をもたらしている、シェールガスの恩恵を受けています。

シェールガスの採掘能力、対象プラスチックの重合、必要な共重合体の生成への、長年にわたる莫大な投資を受け、ガスベースのポリオレフィンの新たな生産能力は、2016年末より持続的に増強しています。それだけではなく、ガス・中間物・加工可能なプラスチックグラニュールの運搬、貯蔵、輸送インフラも拡大しています。米国の新たな生産におけるコスト面での利点は、欧州と北米間のポリオレフィン取扱量の流れを、米国からの輸出に資する形に変えただけでなく、シェールガス自体への関心も高めています。

たとえば中国、インド、オランダでは、プラスチック製造企業が、二次加工向けにプロパン脱水素工場を建設しており、同様の動きがスカンジナビアでも始まると予測されています。

元来良好なプラスチックの経済情勢に影響を与える政治的な不確定要素

プラスチック・ゴム市場の大半、特に工業大国と新興国のこれまでを振り返ると、圧倒的に前向きな進展ばかりが目につくでしょう。しかし、政治的な影響と不確定要素は、ポリマー材料とプラスチック製品の貿易に悪影響を与えてきました。個々の市場の孤立化、ナショナリズムの台頭、一部地域で支持を得ているように見える分離主義と保護政策などが、市況を複雑化してきました。

それぞれのバリューチェーンと地域に応じて、こうした影響は、度合いの強さはまちまちであるものの、市場に新たな不確定要素が持ち込まれ、世界的企業とって長期計画の策定は、困難を極めています。米国と中国の関税率を巡る争い、イランに対する通商停止、あいまいさを伴う英国の欧州連合離脱(Brexit)、南米の重要な経済における国家主義的傾向を含む政治などはすべて、貿易関係の安定化に反する影響をもたらすものです。

循環型経済:将来への道筋

プラスチック廃棄物と、主に化粧品から発生するマイクロプラスチックと呼ばれるプラスチック粒子による海洋汚染は、前例のないスケールで人々とメディアの関心を集め、社会問題として浮上し、以前よりも一層プラスチック業界との関連が容易に想起されるようになっています。

世界の海洋ごみ問題の破壊的な影響は、社会と業界の両方で、変化の過程へとつなげていく必要があります。価値あるプラスチックは、無頓着に廃棄されてよいものではありません。EUは、新たなプラスチックのリサイクル戦略の事例を定めようとしており、この議題は、K 2019で取り上げられます。

欧州のリサイクル率は、大幅な上昇を継続

こうした残念な状況の原因は、一部のアジア諸国で見られる、廃棄システムの機能不全に加えて、人々の行動にあるのは明らかである一方、世界全体で、製品の禁止が課される可能性について議論が重ねられてきました。制限や禁止は主に、特定のプラスチック包装に対するものですが、使い捨ての消費財や衛生用品も、対象になります。

重大な汚染源には含まれていないものの、欧州諸国、とりわけプラスチック業界はかねてより、適切な収集システムの確立と、生産廃棄物の一貫した再利用に加え、使用済みプラスチック廃棄物のリサイクルも目指すソリューションを求め、努力を重ねてきました。過去数年間におよぶ法的規制と、数々の取り組みや戦略により、この種の廃棄物のリサイクル率は、欧州(EU28か国、スイス、ノルウェー)で着実に上昇しています。2016年には73%となり、2011年に報告された数値より14%増、2004年の数値からは30%増となりました。

埋め立てごみ処理を禁じている欧州諸国のリサイクル率は特に高く、こうした国(スイス、オーストリア、オランダ、ドイツ、スウェーデン、ルクセンブルク、デンマーク、ベルギー、ノルウェー、フィンランド)では、プラスチックごみの実に96%以上がリサイクルされています。しかし、リサイクル率が30%を切る国も5か国あります。

2016年、欧州で最も重要なプラスチックごみの回収法となったのは廃棄物発電で、全体の42%を占め、原料リサイクルは31%、そしておよそ27%がごみ埋立場へ廃棄されました。そのわずか10年前には、28%が依然として焼却されており、19%がリサイクルに、53%がごみ埋立場に回されていました。

リサイクル包装に関しては、欧州諸国全体で、現在20%超のリサイクル率となっており、半数の国では65%を超え、10か国が90%以上を、そして一部の国では99%の水準を超えています。2016年には初めて、プラスチック包装のリサイクル(41%)が、熱源としての利用(39%)を超え、依然としてごみ埋立場へ廃棄されているものの、その割合は過去最低(20%)となりました。しかし、こうした成功をもってしても、欧州で初となる、『使い捨て消費財製品禁止』の導入回避には、つながりませんでした。

Kが開催されるドイツは、多くのプロセスで技術面をリード

ドイツ語圏3か国のプラスチック・ゴム業界は引き続き、国際的な競合国と肩を並べており、プロセスチェーンの数多くの領域において、数十年にわたり、技術優位を先導してきました。欧州最大の市場を有するドイツは、Kの開催地でもあります。

ドイツ、そしてプラスチック・ゴム産業に関連する主な数値を検証すると、さまざまなことが分かります。2017年、ドイツのプラスチック・ゴム業界は1,100億ユーロ超の売上高を実現しました。およそ48万人の労働力を雇用する、経済の最も重要な分野の一つとして、国内工業生産全体の6%~7%を占めています。PlasticsEuropeの数値によれば、2017年だけで、1,990万トンのプラスチックがドイツで生産され、プラスチック製造企業により生じた売上高は総額271億ユーロを記録しました。2016年から2017年にかけ、産出量と売上高は大幅に上昇し、それぞれ4%と12%の上昇率となりました。

長期にわたり、ドイツ語圏諸国のプラスチック・ゴム機械メーカーは、機械と加工において、技術面を牽引しています。2017年、ドイツのメーカーは、中核となる機械分野で80億ユーロの生産額を達成し、再び記録的なレベルに昇り詰めました。

同じく2017年、ドイツのプラスチック加工企業は634億ユーロの売上高を記録、加工量はおよそ1,470万トンとなりました。ドイツのゴム加工企業は157万トンの原材料を加工し、117億ユーロの利益を創出しました。

ドイツの加工業界は、世界の競合国とともに、数多くの新たな技術開発や発展、革新的で高度な新しいプラスチックとゴムの用途、ならびに効果の高い新たな種類の材料、非常に効率に優れた機械、最新の金型技術などの出展が見込まれる、K 2019に大いに期待を寄せています。

K 2019 – テクノロジーとトレンド

プラスチックが、今ほど有力メディアにおいて広く議論されたことは、ありませんでした。世界中で、私たちの海が目に見えて汚れていく様が、あらゆるメディアで注目の的となっています。その一方で、この素材が現代社会において、発展や健康に、そして水、食品、エネルギーの安全な供給に、どれほど貢献してきたか、とりわけ、いかにモビリティを向上させ、コミュニケーションを迅速化させたかという事実は、ほとんど語られていません。

工業国や新興国政府は、特定のプラスチックの梱包製品や、使い捨て製品の使用を制限する方向へと、動いています。この対応が最終的にどれほど有効であっても、資源を守り、プラスチックを効果的に加工し、広く収集、分別、リサイクルするための探求は、いまだ大きな困難に直面し続けています。特に新興国は、都市の固形廃棄物のリサイクルシステムにおいて、大きな課題を抱えています。

欧州の機械メーカーは、使用済み廃棄物の収集、分別、リサイクルの技術的解決策を、非常に幅広く提供しています。K 2019 では、プラスチック廃棄物を、再利用できる化合物に変えるさまざまな方法が披露されます。また、ドイツ機械工業連盟(VDMA)プラスチック・ゴム機械工業会は、パビリオンにおいて、ポリマー素材に加え、特に、プラスチック業界のための循環型経済の可能性について、議論を深めたいとしています。

あまたある国際的な工業展では、ドイツ・デュッセルドルフのKほど、バラエティに富んだ高品質のプラスチック・ゴム加工用のポリマー素材、機械、技術、設備を発信するものはありません。また、これほど応用用途が多様で、優れた製品・技術が複合的に勢ぞろいするイベントも、他にありません。

中国をはじめ、世界のさまざまな地域で行われているプラスチック・ゴム業界の展示会が、参加者数の増加を報告していますが、依然としてKは、世界のプラスチック業界において、最重要かつ国際的な情報が集結するビジネスの場であると、位置づけられています。そして2019 年、あらゆるテクノロジーと各分野の最先端が、K で披露されます。

製造のデジタル化が、新たなチャンスが生む

インダストリー4.0 とも称される、製造のデジタル化は、プラスチック加工業者が、業界の製造データを、有効な情報や貴重な所見として収集することを、可能にします。K 2019 では、機械・ソフトウェアメーカー向けに、新たなビジネス機会をもたらす数多くの製品とサービスが紹介されます。予防保守向けサービス製品と予備部品の供給に加え、本年の出展製品の中では、生産立ち上げの迅速化、機械オペレーターの支援、製造過程の柔軟化に焦点をあてた制御モジュール、アプリ、サービスが見どころとなるでしょう。機械メーカーの中には、機械とロボットを実際の作業状況や要件に適合させるため、稼働中の製造工程で順次収集したデータを、すでに活用し始めているところもあります。

デジタル化のおかげで、プロセス改善が、生産効率向上の大きな可能性を広げることができます。というのは、成形技術でもたらされる選択肢と、加工条件、加工工程、温度制御から集めた情報により、部品設計、構造と材料特性が、より正確に短時間で調整できるようになるからです。この進展により、製造と開発の間でフィードバックし続けるシミュレーションが、非常に重要になります。

一般に供給業者は、従来の製造技術に、ITをさらに一体化させることで、製造および加工の一層の透明化をはかるという市場の要求に対応します。ある製造ユニットでは、射出成形機とハイレベルな製造実行システム、あるいは他の下流モジュールとの間のコミュニケーションを円滑にするインターフェイス技術の発展が、高いレベルに達していますが、これは新しい機械のみです。一方で、すでに設置済みの既存の機械においては手付かずのままであり、この新技術で改良することが今後の課題となるでしょう。

プラスチック・ゴムの応用分野を安定的に増やすために

1990年代以降、工業用ポリマー素材の生産が、大規模に拡大することはなくなりました。プラスチックは、初期素材や加工素材として、コスト的にベストな原料という位置に留められています。そのため、特殊な用途や特別な性質を付加させるよう原材料を加工するため、適切な化合物に変えたり、添加剤や追加的な機能性を導入したりすることが、ポリマー製造業界にとって重要なセールスポイントとなり、配合業者には新たなチャンスを次々と与えてきました。このオーダーメイドの工程は、消費者に密接な位置に、つまり最も重要な消費市場の近くに設けられているその土地に根付いた配合施設と、次第に結びついていきました。

さまざまある応用のなかで、食品や飲料水との接触および医療分野での使用の承認獲得、化粧品や化学品における耐薬品性の向上、そして電気や照明機器で起きうる、継続的かつ徐々に上昇する温度やピーク温度に耐える保証に、焦点があてられます。熱伝導を調整可能にすることに加え、通常は、電気抵抗、厳密に適合した光学特性、レーザーマーキング性といった所定の電気伝導特性が、市場で必要とされています。

ゴム業界でも、同様の開発が進んでいます。エラストマー配合業者が、飲料水や可燃性基準に適合させるため、混合にかなりの専門知識を注いでいます。燃料燃焼エンジンに密接するゴムは、継続的かつ徐々に上昇する温度やピーク温度、アグレッシブ媒体に耐えうるものでなければなりません。電気自動車は、グリップ性にすぐれ、濡れた地面でのスリップ抵抗が高く、回転抵抗が最小限の、特にエネルギー効率のよいタイヤを必要とするだけではありません。非常に有用でニッチな製品である液状シリコーンゴム(LSR)は、その応用範囲をかなり拡大してきています。光学製品、シール、ガスケットといった工業応用、あるいは医療分野に加え、独特の特性を持ったこの素材は、家庭用品や特殊パッケージにおいても、広く一般的に利用されるようになりました。並外れた成長率は、この素材群の幅広い用途の可能性によるものです。

資源効率:現在の課題

限りある資源を、責任をもって利用し、そして資源の消費そのものを制限することを、社会が必要としているだけでなく、限定的に注意深く資源を管理することが、経済的にも必要とされています。つまりは、プラスチック素材をはじめ、材料は効率よく使われることが求められます。製造工程の前に、あらゆる材料および製造要件そして仕様を考慮した製品設計は、効率化への第一歩です。

エネルギー効率の良いプラスチック機械の開発も、かなり飛躍しました。しかし、射出成形機、プレス、押出機、ブロー成形機など、特に大型加工機械メーカーの中には、使用する資源を最小限にするための新たな可能性を、探求し続けているところもあります。このようなメーカーは、あらゆるプラスチック加工法のエネルギー消費を減らすため、自社機の物理的限界に挑んでいます。

多用途性、それはコスト効率

大抵の場合、プラスチック加工システムがコスト効率良く稼働するには、エネルギー消費率をほんの数パーセント減少させることよりも、材料効率とシステム稼働率が重要です。だからこそ、切替時間の縮小という現実的な解決策、特に、迅速な取付・切替システム、実際に施されている成形を自動的に認識するアダプターやシステムなどが、一般的になっています。

このような追加機能が、機械の稼働率を高め、製造の多用途性を向上させています。これは、プラスチックとゴムの射出成形に適用でき、ゴム機械メーカーは昨今、設備の多用途性を向上させるとともに、自動化レベルを高め、製造工程をより透明性のあるものにしてきました。

ゼロ・ディフェクト生産は、価値ある原材料の無駄を出したくない、多くのプラスチック加工業者にとっての目標で、多くのシステムが稼働し始めています。例えば押出機では、エッジトリムを出さないこと、プラスチックフィルムやシート、プロファイルにおける厚さの許容範囲、あるいはゴムシールを必要最小限に自動最適化するものがあります。これに加え、加工業者は、デジタルツールを使って、生産サイクルをスピード化するシミュレーションをし、稼働中の生産工程で不良品を排除するため、現行のオペレーションやプロセスデータを分析しながら、対象製品の製造最適化を盛り込んだ戦略を採用しました。

最終製品から不良品を検出する際、加工業者は、カメラのような光学システムを用い、製品品質をモニターしています。適切なITシステムに基づいた工程測定・分析戦略により、さらに包括的な品質保証をもたらすことが期待されています。

軽量化技術: 今なおKのハイライト

何十年にもわたり、科学や工業に集中的に応用された後でも、軽量化技術は、モビリティに利用するエネルギーや燃料を減少させるという点において、いまだに重大要素とされています。機械メーカー、プラスチック・強化製品製造業者、関連機関やプラスチック加工業者はすべて、車両、航空機、その他の工業への応用に向けた軽量部品の大規模な生産と安定化のため、新しい方法の開発に尽力しています。

特に、反応射出成形および従来型の射出成形において、特殊技法を数多く、ほぼランダムに組み合わせることにより、大規模生産にふさわしい軽量部品製造方法への道が開かれています。軽量化技術や繊維複合材を軸とした、国際的なイベントが数多くある一方、デュッセルドルフ開催のKは、強化繊維とプラスチック母材を組み合わせる方法や、重量を最適化した化合物を迅速かつ信頼できる工程で製造する方策を、数多く披露する唯一のイベントです。

金属プラスチック融合素材と、繊維とプラスチック母材のあらゆる組み合わせが、2019年、一堂に会します。現代の要件や仕様を幅広く満たすため、熱可塑性、熱硬化性、バイオベース、ポリウレタンの母材が、グラスファイバー、カーボンファイバー、合成あるいは天然繊維と組み合わされます。強化繊維、自動処理の軟質強化素材から、主に多段工程の機械・設備にいたるまで、軽量部品生産チェーンにとって、パートナーとなるものが数多くあります。母材の難燃性の特質、繊維と母材の優れた接着性、素材性質の改善、優れた流量特性などの製品は、変化する要求に安定的に適合しなければいけません。

積層造形(付加製造)の可能性

生産力のある製造のスピード化、設備費用の抑制、優れたプロセス制御は、積層造形工程の著しい改善と、需要の高まりにつながっています。この技術が、試作生産のためだけに利用されるのは昔の話です。現在は、大量生産や標準ポリマーに広く適用されています。熱可塑性物質やフォトポリマーで印刷された部品、凝固粉や固化液で作成した部品は、消費者だけでなく業界の間でもポピュラーです。なぜなら、成形をせずに、プラスチック製品の少量生産や個別化ができるからです。

積層造形工程も、従来の大規模生産方法とますます結びついてきています。生産力のある技術で製造したインサートやエレメントは、射出成形、押出、ブロー成形、熱成形で用いられ、『印刷された』機能部品は、すでにグリッパーやその他の自動操作装置で使用されています。


この技術は、オペレーターの負担を軽減し、製造工程を柔軟にするので、自動部品操作に加え、主に補助的な支援として、あるいは下流工程のために、ロボットを利用することも圧倒的に増えました。

類似点の増加: 家電と工業用機械の操作概念

過去数年で、新たなビジネス機会を提供してきた情報技術は、現代のプラスチック機械の制御システム分野に、確実に進出してきました。携帯電話、ゲーム機、近代的な車のインターフェイスのディスプレイのように、洗練されたタッチスクリーン、あるいはマルチタッチ式制御パネルが、これまでのキー、ボタン、スイッチに取って代わりました。

直感的で使いやすい操作性を備えたこの新たなヒューマンマシーンインターフェイスにより、スマートフォン、iPad、タブレットのような馴染みやすい操作論理が、工業用制御工程にも取り入れられました。これにより新しい雇用機会も生まれています。多くの可能性を秘めた、現代の成長産業であるプラスチック加工業界においては、新入社員でさえも、こういったコントロール業務に携わることができます。

プラスチック機械メーカーはまた、自社の機械制御においてこのようなアプローチを図り、補助システムを着実に取り入れてきました。補助システムは、熟練の作業者に、深い洞察、背景にある情報、詳細な材料データを提供し、最適な手順を取る支援をするように、また、非熟練者に対しては、射出成形機操作について体系立った説明を行うよう、プログラムされています。後者の側面は、熟練作業者が絶対的に少なく、誰もが操作業務にあたる可能性があるプラスチック加工業者にとって、特に興味深いことです。

プラスチック機械の最先端制御システムは、ポリマー素材の重要性を示すまさに完璧な一例です。というのも、その機能性の高い統合は、プラスチックなしでは不可能だからです。要求される最先端のタッチフィルムは、センサー、電子部品、プラスチック加工を高度に統合し、組み合わせることにより生み出されます。さらに、私たちの日常的な友であるデジタル機器の電子ディスプレイのように、現代の生活に浸透した多くのハイテク製品は、高度な技術・高機能を有する素材なしでは作れません。

そのためK 2019では、私たちの資源を守りながら新しい製品を生み出す、効果的な製造工程を提示するだけでなく、プラスチックの広範な活用で生じる環境保護問題にもスポットを当てていま

 

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